深層ニューラルネットによる化合物とタンパク質の結合予測

認識・モデル化・予測モジュール

研究のポイント

  • 薬剤とタンパク質の相互作用を予測する、新たな深層学習手法を開発
  • 薬剤とタンパク質の相互作用部位を特定・可視化でき、予測結果の妥当性の確認が可能
  • 薬剤候補の絞り込みにより、新薬の開発を加速
キーワード:
  • 深層学習
  • グラフニューラルネット
  • タンパク質
  • 結合予測

モジュール・データの概要

近年、人工知能の実世界課題への応用の一つとして、創薬分野への人工知能技術の応用による新薬開発の加速化や、革新的な新薬の実現が期待されている。しかし薬剤とその対象となるタンパク質は異なるタイプの構造なので、疾患治療に有効な薬剤とタンパク質の組み合わせを高速で高精度に予測することは困難であった。​
そこで、化学と生物学の知識に基づき、性質の異なる深層学習手法を組み合わせて、薬剤とタンパク質に対する高速で高精度の相互作用予測手法を開発した。​
また、薬剤やタンパク質の立体構造を用いない従来手法では、予測結果から相互作用部位を特定できず、結果の解釈に問題があるとされてきたが、今回開発した手法では相互作用部位を特定、可視化できる。

ソースコードを公開中
https://github.com/masashitsubaki/CPI_prediction

手法の詳細の論文
Masashi Tsubaki, Kentaro Tomii, and Jun Sese, Compound-protein interaction prediction with end-to-end learning of neural networks for graphs and sequences, Bioinformatics, 35, 2, 309-318, 2018 https://doi.org/10.1093/bioinformatics/bty535

想定されるアプリケーション

この技術により、新薬剤を大量の候補群から絞り込む作業の加速が期待される。さらに、コンピューターによる大規模な薬剤候補の探索によって、人間の知識や経験だけでは到達できない革新的な新薬の開発も期待される。

研究開発プロジェクト NEDO 次世代人工知能・ロボット中核技術開発の成果
研究機関 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
主要研究者 椿 真史