単極脳波信号分離

認識・モデル化・予測モジュール

研究のポイント

  • 単一電極で計測された脳波信号から眼球運動と瞬きに由来する雑音を除去
  • multi-scale dictionary learning (MSDL)という新しい信号処理分解を提案
  • 分解された成分の識別をデータから機械学習する
  • ウェアラブル簡易脳波計測デバイスの BCI 等への活用を促進
キーワード:
  • 脳波
  • 単極
  • 雑音除去
  • 眼球運動
  • BCI

モジュール・データの概要

脳波や筋電などの生体情報は、実世界から得られる時系列データの典型的なものであり、近年、スマートウォッチなど容易に装着できる IoT センサの普及により、その利活用へのニーズが高まっている。​
単一電極のウェアラブル脳波計測デバイスは、装着の容易さから、脳波を使ったブレイン-コンピュータインタフェース(BCI)のためのデバイスとして期待されているが、脳波は眼球運動や瞬きなどに由来する雑音の影響を受けるため、こうした雑音の除去が BCI への応用に向けた課題であった。​
既存の雑音除去手法は、多チャンネルの信号を前提としているものが多く、単極脳波を対象とするものはあまり研究されてきていない。​
そこで、この課題を解決するために、以下のような性質を持つ新しい手法を開発し、モジュール化した。

  • 単極脳波信号を、複数の成分に分解
  • その中で眼球運動や瞬き由来のものと考えられる信号成分を識別して除去
  • 信号の識別は学習用データから学習させる
  • 単一の信号からでも、良い精度で雑音除去ができることを確認した

MATLAB のソースコードを公開中
https://github.com/Suguru55/MSDL_based_artifact_rejection

手法の詳細の論文
S. Kanoga, A.Kanemura, H. Asoh, "Multi-scale dictionary learning for ocular artifact reduction from single-channel electroencephalograms", Neuro Computing, 347, 28, 240-250, 2019, https://doi.org/10.1016/j.neucom.2019.02.060

想定されるアプリケーション

単一電極のウェアラブル脳波計を用いたブレイン-コンピュータインタフェース(BCI)による​情報入力、電子機器、ロボットなどの制御

研究開発プロジェクト NEDO 次世代人工知能・ロボット中核技術開発の成果
研究機関 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
主要研究者 叶賀 卓