成人男性骨格形状データ

成人男性骨格形状データ

はじめに

 本骨格形状データは、東京大学理学部 生物学科 人類科学大講座所蔵の成人男性骨格標本一体分を、CTを用いてデジタル化し、立位時の姿勢に再構成したものです。東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 人類科学大講座 形態人類学研究室 近藤修准教授、東京大学総合研究博物館 人類研究部、東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 中村仁彦研究室、産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究センターが、共同で作成したものです。骨格形状データの著作権は開発に携わった東京大学と産業技術総合研究所に帰属します。利用規定に同意された方は、当該骨格形状データを自由に無償で使用することができます。

目次


0. アップデートのお知らせ

(2015.04.28)下記の通りモデルの修正を行いました。

  • 肩関節の位置及び胸郭と肩甲骨の位置関係を調整するため,
    1. 胸鎖関節を内側上方に移動
    2. 肩鎖関節を内側前方下方に移動
    3. 肩甲骨を外旋下制
    4. 上腕骨より末梢を1~3に従って移動
  • 膝蓋骨を内側に移動
  • 足部第1基節骨,末節骨を移動
(旧)(新)

(2017.08.18)引用におけるクレジットの追加・修正を行いました。

  • 中村仁彦・山根克・村井昭彦・諏訪元・近藤修・河内まき子・川地克明・持丸正明、2008:成人男性骨格形状データ(産総研h30PRO-905)
  • Nakamura Yoshihiko, Yamane Katsu, Murai Akihiko, Suwa Gen, Kondo Osamu, Kouchi Makiko, Kawachi Katsuaki, Mochimaru Masaoki, 2008: Adult male skeleton data. AIST h30PRO-905.

1. このデータについて

1.1. 骨格資料

 成人男性1体分の骨格です。データはほぼ全身分ありますが、尾骨・舌骨等一部は含まれていません。
 この標本は教育用骨格標本であり、生前の個人情報は存在しませんが、骨盤形態・頭蓋形態より性別は男性、恥骨結合面形態・頭蓋縫合の癒合程度・歯牙の咬耗程度より年齢は成人(およそ25-50歳程度,60歳をこえる老人という可能性は少ない)と考えられます。また、頭骨の形から判断すると日本人(東アジア人)である可能性は低く、ヨーロッパ系・アフリカ系・アジア系と大別する中ではヨーロッパ系に近いと考えられます。

  • 標本の所在:東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 人類科学大講座
  • 標本番号:P6
  • 骨の有無リスト:舌骨,尾骨,胸骨剣状突起のみが欠けています。また、左足の小指第5中節骨と末節骨は癒合しています。全ての骨のリストは こちらをご覧下さい(PDF・36KB)

1.2. 背景と目的

1.2.1. 骨格形状データの開発経緯と目的

 骨格形状データは、モーションキャプチャで計測した人体運動と解析結果の可視化、医学解剖図、裁判などにおける人体損傷の可視化などの目的で利用されています。非常に精密な(ポリゴン数の多い)有料の骨格形状データはありますが、リアルタイムのコンピュータグラフィクスに利用するにはポリゴン数が多すぎて処理が重かったり、有料であるために利用機会が制限されるという問題がありました。そこで、東京大学と産業技術総合研究所では、リアルタイムのコンピュータグラフィクス表示に適したポリゴン数で、かつ、できるだけ正確に骨格形状を再現でき、無償利用できる骨格形状データを整備し、公開することとしました。

1.2.2. 開発方針

 共同作成の主体となった東京大学・中村仁彦研究室では、人体の筋走行と骨格の数理モデルを開発しており、それを用いて筋力推定や運動生成を実現しています。この既存の筋骨格系数理モデルの可視化に使うことを前提に、東京大学中村仁彦研究室での骨格形状データ整備は進められました。その基本方針は 以下のようなものです。

  • 実際の骨格標本をベースに各骨の形状モデルを生成する(骨から型取りした樹脂製模型ではなく、オリジナルの骨格標本を利用する)
  • 少ないポリゴン数で形状をできるだけ再現するようにモデリングする。ポリゴンは三角形ポリゴンとし、法線方向が外を向くように構成する。位相幾何学的な不整合が生じないように配慮する。
  • 基本的に左右対称のモデルとし、上肢、下肢など左右側があるものについては、右側の骨格形状をモデル化した後、鏡像反転して左側のモデルを構成する
  • それぞれの骨を立位姿勢をとったときの位置関係に配置、再現するときには、すでに先行している東京大学・中村仁彦研究室の筋骨格系数理モデルをベースにする。このとき、各骨の形状モデルを生成に利用した骨格標本のサイズやプロポーションと、現有の筋骨格系数理モデルの関節位置などが厳密には一致しない。その場合には、骨格標本から取得した骨の形状モデルを微小スケーリングして一致させる
  • 各骨の形状モデルは1つ1つ個別に用意するが、筋骨格系数理モデルと対応するようにいくつかの骨を節としてまとめて節座標系を定義する

1.2.3. 骨格形状データの限界

 目的と開発方針で述べたように、本骨格形状データは、主としてコンピュータグラフィクスによる可視化を目的として、できるだけ少ないポリゴン数で外観を表現できるように生成しています。また、オリジナルの骨格標本そのままではなく、先行する東京大学・中村仁彦研究室の筋骨格系数理モデルと合致するように姿勢を構成し、一部の骨形状をスケーリングし、さらに左右対称の形状モデルとしています。したがって、解剖学的視点から以下のような限界を有しています。

  • 左右の非対称性が考慮されていない(ただし、椎骨など正中にある骨については鏡像反転はしていないため、形状が左右非対称になっている)
  • 頭骨の篩骨洞、前頭洞などは省略し、基本的に外観から確認できる表面形状を中心に形状モデルを構成する
  • 半月板、TFCC(三角繊維軟骨複合体)、顎関節円板など軟骨部は省略する(そもそも骨格標本に軟骨部が含まれていない)
  • 一部の骨形状については微小スケーリング(拡大/縮小)されている

1.3. 方法

1.3.1. CT計測

 2007年4月25日、東京大学医学部付属病院、放射線科において、CT計測を行いました。CT計測は、頭部と身体部を別々に行いました。計測にあたり、頭部を除く骨格を効率よく計測できるように、東京大学理学部人類科学大講座において発泡スチロール素材の土台に配置、固定しました(図2~5)。

※クリックすると大きなサイズの画像を表示します

Figure 1. Skull/頭骨

Figure 2. Claviculae, patellae, and limb bones./鎖骨、膝蓋骨、四肢骨

Figure 3. Costae (rib bones), pelvis, and scapulae./肋骨、骨盤、肩甲骨

Figure 4. Vertebrae/椎骨

Figure 5. Sternum, hand bones, and foot bones./胸骨と手足の骨

1.3.2. 骨格データの抽出と組み立て

 骨格データの抽出と組み立ては、東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 中村仁彦研究室にて行いました。
手順は以下のとおりです:

  1. CTにて取得したデータ(形式:DICOM)を画像(形式:BMP)に変換
    • 使用ソフトウェア:DicomWorks
    • 解像度:身体部 X:1.074mm、Y:1.074mm、Z:1mm , 頭部 X:0.351mm、Y:0.351mm、Z:1mm
  2. BMP形式の画像データをポリゴン(形式:STL)に変換
    • 使用ソフトウェア:V-cat
  3. 骨のセグメンテーションと形状の調整
    • 使用ソフトウェア:Geomagic Studio
      1. 骨は1つずつ分解(頭骨、胸骨は一括)。
      2. 骨の密度の違いによって生じる内部空間を消去。
      3. ポリゴンの幾何学的不整合箇所の修正。
      4. VRML形式への変換。
  4. 各セグメントの位置、姿勢の調整
    • 使用ソフトウェア:MATLAB
  5. 3.で作成した個別の骨を、市販の全身骨格データを参照として、これに全身の姿勢を合わせるという方法で立位姿勢に組み上げました。個別の骨の位置合わせは以下の作業によります:
    • ポリゴンの面積を重みとして計算したポリゴン重心位置に基づき、並進移動。
    • 特異値分解により求まる主成分のベクトルの方向に基づき、回転移動。
    • 主成分方向のポリゴンの分布に基づき、拡大・縮小。
    • 以上の方法で求めたスケーリング、並進・回転移動量をVRMLファイルに追記。

1.3.3. 立位姿勢の最終調整

 3-2で作成したデータを詳細に検討した結果、面の反転や非多様体形状(面積0の形状や閉じられていない面)などの問題点が残っていたので、形状データの最終調整を行いました。

立位姿勢を取ったときの骨の位置関係は、デジタルヒューマン研究センターと東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 人類科学大講座 形態人類学研究室 近藤修准教授が相談して調整しました。実際の作業は株式会社メタ・コーポレーション・ジャパンに依頼しました。

骨格形状データはすべて同一の世界座標系で記述されています。また、骨の階層構造 (骨と骨との親子関係) はなくなっています。骨格形状は骨単位で形状のグループ化を行い、各形状グループには骨の名前を表すラベルを付与してあります。ラベルと骨との対応は、配布データに含まれる対応表をご参照ください。


※クリックすると大きなサイズの画像を表示します

1.4 謝辞:成人男性骨格形状データ開発プロジェクト 参加者

東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 人類科学大講座 形態人類学研究室

  • 近藤 修 准教授

東京大学 総合研究博物館 人類形態研究室

  • 諏訪 元 教授

東京大学医学部附属病院 放射線部

  • 折舘 隆 副技師長

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻

  • 中村 仁彦 教授
  • 村井 昭彦
  • Gentiane VENTURE 特任助教
  • 山口 能迪

産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター

  • 持丸 正明 センター長
  • 河内 まき子 上席研究員
  • 川地 克明

※組織名、役職は公開当初(2010年)のものです。


2. データの入手について

内容

  1. 骨格形状ファイル
    • データフォーマット: Wavefront OBJ (骨単位でグループ化、210グループ)
    • 頂点数: 38,897頂点
    • 三角形面数: 77,091 三角形
    • 容量:2.7MB
    • 座標系:前方をx軸、左方をy軸、上方をz軸とする右手系
    • 座標系原点: 足裏が原点を通る xy 平面の直上にあり、原点は xy 平面内で左右の足の中間に位置する。
  2. 骨格ラベル名対応表(PDF)

問い合わせ先

 入手を希望される方は下記のとおりご記載のうえ、公開データ担当メールアドレスまでご連絡ください。折り返し、提供にあたってご提出をお願いしているアンケートおよび使用同意書フォームをお送りいたします。


公開データベースの提供希望、使用にあたってよくご質問・お問い合せいただく事項をまとめました。

 ご不明な点がある場合は、まずこちらをご一読ください。

 上記で解決しない場合、また具体的な事例のご相談などのお問い合わせ全般は下記公開データ担当メールアドレスにてお受けしております。


データベース提供ご希望の場合は下記をもれなくご記載ください。
  • お名前
  • ご所属(法人名・部署名 もしくは大学名・学部名 など)
  • 連絡先メールアドレス
  • 該当データベースの名称(本データベースであれば「成人男性骨格形状データ」)
  • 使用目的(差支えない範囲で結構です)

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
AIST人体寸法・形状データベース 公開データ担当

dhrc-liaison-ml@aist.go.jp

▲ ページトップへ