セミナー情報

【第66回AIセミナー】「分子設計とＡＩ：バイオＤＸの最前線」

終了しました。

分子設計は、私たちの生活のあらゆる面で重要な役割を果たしています。洗濯洗剤に含まれる酵素が汚れを落とす力、環境汚染の原因となっているプラスチックを効率よく分解する酵素、ウィルスを正確に認識して攻撃する抗体など、分子設計の成果といえます。近年、ＡＩ技術を用いて、従来よりもはるかに効率よく機能性分子を設計する技術が急速に発達しています。本セミナーでは、分子設計の分野で活躍する３名の話者から、最新の分子設計のトピックについてご紹介いただきます。さらに、１名の話者から、分子設計をはじめ、バイオ研究を加速するロボティクスを用いた実験自動化の最新トピックについてもご紹介いただきます。

名称	【第66回AIセミナー】「分子設計とＡＩ：バイオＤＸの最前線」
日時	2023年6月28日（水） 15:00 - 17:00
受付時間	接続可能時間：14:50-17:00
場所	Zoomウェビナーによるオンライン開催 ※お申し込み後に自動配信されるメールにて参加URLをご案内いたします。
定員	500 名
参加費用	無料
連絡先	人工知能セミナー窓口
注意事項・定員になり次第締切ります。・産総研は、お送りいただいた情報をセミナー運営以外の目的には使用しません。・講演の録画やアップロードはご遠慮ください。

プログラム

15:00 - 15:30	分子動力学シミュレーションと機械学習の融合来見田遥一（北里大学未来工学部データサイエンス学科　助教）
	概要機械学習は、生体分子の設計や理解において重要な役割を果たしています。しかし、大量のデータ収集が困難な対象・現象に対しては、機械学習を用いることは容易ではありません。本講演では、この問題に対処するために実験の代わりに分子動力学シミュレーションにより取得したデータを用いたペプチドの凝集性予測に関する研究を中心にご紹介します。
	略歴 2018年東京工業大学大学院生命理工学研究科博士課程修了博士(理学) 2018年-2023年産業技術総合研究所人工知能研究センターオーミクス情報研究チーム産総研特別研究員 2023年-現在北里大学未来工学部データサイエンス学科助教
15:30 - 16:00	バイオDXによる物質生産の効率化池部仁善（産業技術総合研究所人工知能研究センター　研究員）
	概要バイオDXを利用した、産業製品の原料物質生産の効率化について紹介します。産業製品を安価で安定的に供給するためには、その原料となる物質（香料、繊維、プラスチックなど）を効率的に生産することが不可欠です。生物体内で物質を生産するタンパク質である「酵素」を利用した物質生産は、安定供給、環境コストの低減などの観点から、従来の物質生産法と比べて大きなメリットがあります。しかし、生物が持っている野生型酵素が工業利用に適さない場合、酵素を改変した改良型酵素を開発する必要があります。数ある酵素改変の課題の中でも、私の研究対象である「物質生産において生じてしまう副産物生成の低減」は、人工知能を適用することが難しい題材でした。本日紹介するMutation Site Prediction method for Enhancing Regioselectively of substrate reaction sites (MSPER)法は、シミュレーションによって得られた酵素の形の情報を元に、目的原料の生産をできるだけ維持しながら、副産物の生産を抑える酵素の改変部位を自動的に予測する解析手法です。MSPER法は、酵素改変で最も時間とコストを要するバイオ実験の労力を低減し、人工知能の学習に必要な実験データを効率よく作製することができる、バイオ実験と人工知能の橋渡しとなる技術です。MSPERを用いて実際に開発された産業用酵素の研究を通して、バイオ分野におけるDXの活用例についてご紹介します。
	略歴 2022年 4月-現在　産業技術総合研究所　研究員 2016年10月-2022年3月　産業技術総合研究所　産総研特別研究員 2011年10月-2016年9月　日本原子力研究開発機構　博士研究員など 2011年 4月-2011年9月　大阪大学　蛋白質研究所　特任研究員 2011年 3月　大阪大学大学院　博士後期課程修了（理学）講演資料 PDF: 6,624KB
16:00 - 16:30	人工知能でタンパク質をデザイン齋藤裕（産業技術総合研究所人工知能研究センター　主任研究員）
	概要タンパク質と聞いて、何を思い浮かべますか？　糖質制限？　筋トレ？　いえいえ、それだけではないんです！　タンパク質は機能性分子として様々な分野で利用されています。医薬品として用いられる抗体、物質生産や汚れの分解を行う酵素、生体内を見える化する蛍光タンパク質など、その用途は数え切れません。産業界には、このようなタンパク質をデザインし、その機能を改良したいという幅広いニーズが存在します。本講演では、私の人工知能を利用した機能性タンパク質のデザインについてご紹介します。
	略歴 2012年慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了。博士（理学）。国立研究開発法人産業技術総合研究所、特別研究員、研究員を経て、2019年より主任研究員。2022年新化学技術研究奨励賞、2022年Oxford Journals JSBi Prize等を受賞。機械学習やバイオインフォマティクスなどの情報科学的アプローチに基づき、大量データの解析から生命を理解すること、その知見を生体分子の設計や制御へ応用することに興味を持っている。講演資料 PDF: 2,470KB
16:30 - 17:00	ロボティクスによるバイオ実験自動化光山統泰（産業技術総合研究所人工知能研究センター　研究チーム長）
	概要実験自動化はバイオDXの一角を担っています。分子設計では、最も好ましい分子を設計するのに、DBTLサイクルを複数回実行する必要があります。これを人力による実験で実行するのは大変な労力と時間・コストが伴います。また、人間の作業ではどうしても再現性の問題も避けることができません。そこで、実験を自動化する技術が研究されています。この講演では、実験を自動化する技術の開発事例と自動化の課題についてご紹介します。
	略歴 2003年北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科博士後期課程修了博士(知識科学)。産業技術総合研究所特別研究員を経て、2005年産業技術総合研究所生命工学研究センター研究チーム長、2016年産業技術総合研究所人工知能研究センター研究チーム長

15:00 - 15:30	分子動力学シミュレーションと機械学習の融合来見田遥一（北里大学未来工学部データサイエンス学科　助教）
	概要機械学習は、生体分子の設計や理解において重要な役割を果たしています。しかし、大量のデータ収集が困難な対象・現象に対しては、機械学習を用いることは容易ではありません。本講演では、この問題に対処するために実験の代わりに分子動力学シミュレーションにより取得したデータを用いたペプチドの凝集性予測に関する研究を中心にご紹介します。
	略歴 2018年東京工業大学大学院生命理工学研究科博士課程修了博士(理学) 2018年-2023年産業技術総合研究所人工知能研究センターオーミクス情報研究チーム産総研特別研究員 2023年-現在北里大学未来工学部データサイエンス学科助教
15:30 - 16:00	バイオDXによる物質生産の効率化池部仁善（産業技術総合研究所人工知能研究センター　研究員）
	概要バイオDXを利用した、産業製品の原料物質生産の効率化について紹介します。産業製品を安価で安定的に供給するためには、その原料となる物質（香料、繊維、プラスチックなど）を効率的に生産することが不可欠です。生物体内で物質を生産するタンパク質である「酵素」を利用した物質生産は、安定供給、環境コストの低減などの観点から、従来の物質生産法と比べて大きなメリットがあります。しかし、生物が持っている野生型酵素が工業利用に適さない場合、酵素を改変した改良型酵素を開発する必要があります。数ある酵素改変の課題の中でも、私の研究対象である「物質生産において生じてしまう副産物生成の低減」は、人工知能を適用することが難しい題材でした。本日紹介するMutation Site Prediction method for Enhancing Regioselectively of substrate reaction sites (MSPER)法は、シミュレーションによって得られた酵素の形の情報を元に、目的原料の生産をできるだけ維持しながら、副産物の生産を抑える酵素の改変部位を自動的に予測する解析手法です。MSPER法は、酵素改変で最も時間とコストを要するバイオ実験の労力を低減し、人工知能の学習に必要な実験データを効率よく作製することができる、バイオ実験と人工知能の橋渡しとなる技術です。MSPERを用いて実際に開発された産業用酵素の研究を通して、バイオ分野におけるDXの活用例についてご紹介します。
	略歴 2022年 4月-現在　産業技術総合研究所　研究員 2016年10月-2022年3月　産業技術総合研究所　産総研特別研究員 2011年10月-2016年9月　日本原子力研究開発機構　博士研究員など 2011年 4月-2011年9月　大阪大学　蛋白質研究所　特任研究員 2011年 3月　大阪大学大学院　博士後期課程修了（理学）講演資料 PDF: 6,624KB
16:00 - 16:30	人工知能でタンパク質をデザイン齋藤裕（産業技術総合研究所人工知能研究センター　主任研究員）
	概要タンパク質と聞いて、何を思い浮かべますか？　糖質制限？　筋トレ？　いえいえ、それだけではないんです！　タンパク質は機能性分子として様々な分野で利用されています。医薬品として用いられる抗体、物質生産や汚れの分解を行う酵素、生体内を見える化する蛍光タンパク質など、その用途は数え切れません。産業界には、このようなタンパク質をデザインし、その機能を改良したいという幅広いニーズが存在します。本講演では、私の人工知能を利用した機能性タンパク質のデザインについてご紹介します。
	略歴 2012年慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了。博士（理学）。国立研究開発法人産業技術総合研究所、特別研究員、研究員を経て、2019年より主任研究員。2022年新化学技術研究奨励賞、2022年Oxford Journals JSBi Prize等を受賞。機械学習やバイオインフォマティクスなどの情報科学的アプローチに基づき、大量データの解析から生命を理解すること、その知見を生体分子の設計や制御へ応用することに興味を持っている。講演資料 PDF: 2,470KB
16:30 - 17:00	ロボティクスによるバイオ実験自動化光山統泰（産業技術総合研究所人工知能研究センター　研究チーム長）
	概要実験自動化はバイオDXの一角を担っています。分子設計では、最も好ましい分子を設計するのに、DBTLサイクルを複数回実行する必要があります。これを人力による実験で実行するのは大変な労力と時間・コストが伴います。また、人間の作業ではどうしても再現性の問題も避けることができません。そこで、実験を自動化する技術が研究されています。この講演では、実験を自動化する技術の開発事例と自動化の課題についてご紹介します。
	略歴 2003年北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科博士後期課程修了博士(知識科学)。産業技術総合研究所特別研究員を経て、2005年産業技術総合研究所生命工学研究センター研究チーム長、2016年産業技術総合研究所人工知能研究センター研究チーム長