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3. ヒヤリング調査の概要

3.6 わが国の研究開発支援構造に欠けるもの

■「民が主体」、「実業モデル尊重」の発想が欠如し、民にとって邪魔な省庁間の壁。
日本株式会社で良かった時代は官が主体という発想でもうまく行っていたが、今は民が主体という発想へ転換し、クリエイティブな構造を生み出すことが必要である。官には実業のモデルを尊重する発想が欠けていて、実際のビジネスではあり得ないような制度が存在する。また、省庁間の壁は邪魔な存在以外の何物でもないが、これを排除したり無くそうとする発想がない。

■省庁間を跨って予算等を議論できる機構を早急に整えるべし。
 ITのような新しい分野の政策を実行するには、「情報省」のような新しい組織を新設するぐらいのことをすべきである。総合科学技術会議を主催する内閣府は、プランニングはするが、省庁間の予算の調整をする権限も陣容もない。日本も米国のように省庁間を纏める部署を作り、そこに権限を与えることを早急に考えないといけない。

■ベンチャー向けに、米国並の支援の仕組みを作るべし。
 新しいビジネスは当初は小規模なのは仕方がないが、その代わり、大企業だと端金でもベンチャーにとっては十分な資金の支援を政府で行うことができる。米国並のベンチャー支援の仕組みを作る必要がある。

■省庁間の縦割り構造を超えた効果的な役割分担を望む。
日本の研究開発プロジェクトでは、それぞれの省庁の役割がはっきりしない。縦割りになっていて、どの省庁も同じような結果を要求し、同じような企業に落ちてくる。企業を維持、発展させるための政策なのか、国の基礎研究をレベルアップさせるための政策なのかという区別が非常に分かりにくくなっている。縦割りで互いに喧嘩しているようにすら見える。これを何とかして欲しい。

■ベンチャーが生み出す新しいマーケットを育てる、国の支援制度が必要。
 日本はユーザや企業が保守的で、新しい技術を持ったベンチャーが出て来ても、なかなかマーケットが育たない。米国でも新しいマーケットを育てるにはリスクを伴うが、国の資金でビジネスになるかどうかの実験をしたり、官公庁が自ら調達を行うなどの制度を設けてベンチャーを育成している。日本にもこうした制度が必要ではないか。

■基礎研究を事業化、産業競争力強化にまで結びつける一貫した国の仕組みが必要。
 国全体として、産業競争力を強化するための先行的な技術開発が出来る仕組みとなっておらず、大学や国研では基礎研究を事業化に結びつけるインセンティブに欠けている。また、せっかく国の支援で開発した技術も、国が率先して活用する努力を行わなければ、無駄になることが多い。基礎研究を事業化、産業競争力強化にまで結びつける一貫した国の仕組みが必要である。

■研究開発支援においては、継続的視点を持つべし。
 日本では人が代わることにより、研究開発支援に関する政策がうまく繋がらなくなる場合が多い。全体からの視点、あるいは継続的な視点が欠けているのではないか。

■人材育成は金を出すだけでなく、その人の進路に応じたサポートの仕組みを。
研究者を育てるには金を掛ける以外に、その先、その人がどう育って欲しいのかを考えて、それをサポートする仕掛けを作る必要がある。起業家としてやっていく人に対しては、(融資でなく)投資がすぐに出来る仕組み、その人がもっと研究したい場合には、それに対して補助する仕組み等、その人がどう育つか、どう育って欲しいかによって、それぞれの道をサポートする仕組みがあると良い。

■企業が苦しい今こそ、国は基礎研究分野をおろそかにすべきではない。
 今や、企業は経営が苦しくて基礎研究への投資が困難になっているが、産総研など国研が独法化により独立採算的なことばかりを求められると、基礎研究がさらに弱体化していくのではないかという懸念がある。国は基礎研究をおろそかにすべきではない。

■全体のグランドデザインに基づいた国の仕組み・施策が必要。
 全体的視点に立って国の方針を考えないと、ベクトルが合わないし、継続性がなくなる。国としてのグランドデザインに基づく仕組み、施策が必要である。個別の制度、仕組みは徐々に改善されつつあるが、実質的な戦略立案部門というのがほとんど無いため、個別には部分的な解決がされても、全体としては解決されない。一番欠けているのは全体的視野に立った政策や戦略であり、国としての明確な大きな目標から、戦略、具体策へときっちり落としていく組織と仕組みが必要である。

■制約を最大限に取り払った国家プロジェクトを試行せよ。
通常のプロジェクトでは、諸々の課題や制度など、足枷がいろいろあるが、適当な規模のプロジェクトを、可能な限りの枠を全部取り払って試行してはどうか。プロジェクトの進捗に伴って、いろいろな課題が出てくるし、解決策も見つかるのではないか。IPAの未踏ソフトウェア創造事業はこれに近い発想と思われるが、対象が個人レベルで予算規模も小さいので、効果が限られる。

■ソフトウェアの研究開発の特性に適合した予算化と実施制度を。
 ソフトウェア分野への国の投資はほとんどが補正予算で実施される。補正予算での研究開発では、短期間な割に規模が大きいものが要求されるため、中途半端な結果となってしまう。ソフトウェアの特性に適合した予算化と実施制度が必要である。

■日本の文化に合ったやり方を追求すべし。
 欧州や米国の仕組みは、各国の社会的、地理的要因によって決まってきた面がある。その仕組みを日本に部分的に持ってきても、どこまで機能するかは疑問がある。今の日本のやり方は、過去において我々がやってきた訳だから、それを簡単に捨てる必要はないし、捨てようがない。日本なりのやり方があるのではないか。

■国のプロジェクトの成果をより実質的に評価し、良いものには継続的支援を。
日本の形式的なプロジェクトの評価に比べて、EUでの評価は実質的であり、審査はオープンな環境で行われる。そして、成果が良と判定されると次のプロジェクトに予算が付けられる。日本にも、もっと成果を実質的に評価して、優秀な研究については継続して支援を行えるような仕組みが必要である。

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