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付属資料1 海外調査報告(欧州)

 「人間主体の知的情報技術」調査ワーキンググループ活動の一環として、欧州における研究開発の最新情報収集を目的に行なった海外調査について報告する。

・日 程: 1999年9月21日(火) から 1999年10月3日(日)
・調査員: 奥乃 博 主査、北畠 重信、小林 茂

・主な調査先:

1) CLAS(英国ロンドン)
  2) NTTデータ英国支店(英国ロンドン)
3) シェフィールド大学(英国シェフィールド)
4) SONY CSL パリ(仏国パリ)
5) CSCWD'99(仏国コンピエーニュ)

 

1. CLAS

 「人間主体の知的情報技術」調査ワーキンググループ活動の一環として、欧州における研究開発の最新情報収集を目的に行なった海外調査について報告する。

 

(1)概要

名称: COMPUTERS, LANGUAGE AND SPEECH
日時: 1999年9月22日(木)から 9月23日(金)
場所: The Royal Society, 6 Carlton House Terrace, London, SW1Y 5AG, UK. (英国ロンドン)
主催: Royal Society/British Academy Discussion Meeting
主宰者:Karen Sparck Jones, Gerald Gazdar, and Roger Needham

 これは言語および音声処理における、形式的理論と統計的データを統合するモデルに焦点を当てた会議である。情報技術の適用においては、すでに統計的手法が開発されているが、この会議では、これまでに学んだ教訓を評価して、将来の研究のためのニーズと方向性を探ることを目的としている。

 

(2)セッション一覧

1999年9月22日

SESSION 1
Chairman: Roger Needham, Cambridge
10.00
Fernando Pereira, AT&T
Formal grammar and information theory: together again?

SESSION 2
Chairman: Yorick Wilks, Sheffield
11.10
Julie Berndsen, UCD
Finite state models, event logics and statistics in speech recognition
11.50
Stephen Pulman, Cambridge
Statistical and logical reasoning in disambiguation

SESSION 3
Chairman: Mark Huckvale, UCL
14.00
Harald Baayen and Robert Schreuder, MPI Nijmegen
Towards a psycholinguistic computational model for morphological parsing
14.40
Yoshi Gotoh and Stephen Renals,
Information access from broadcast news

SESSION 4
Chairman: Stephen Isard, Edinburgh
15.50
Roni Rosenfeld, CMU
Incorporating linguistic theories of pronunciation variation into speech recognition models
16.30
Mari Ostendorf, Boston
Incorporating linguistic structure into statistical language models

1999年9月22日

SESSION 5
Chairman: Eva Hajicova, Prague
10.00
Geoffrey Sampson, Sussex
The role of taxonomy in language engineering
SESSION 6
Chairman: Harold Somers, UMIST
11.10
Hiyan Alshawi and Shona Douglas, AT&T
Learning dependency transduction models from unannotated examples
11.50
Jon Oberlander and Chris Brew, Edinburgh
Stochastic text generation
SESSION 7
Chairman: Donia Scott, Brighton
14.40
Stephen Young, Cambridge
Probabilistic models in spoken dialogue systems
SESSION 8
Chairman: Geoffrey Leech, Lancaster
15.50
Paul Taylor, Edinburgh
Concept-to-peech synthesis by phonological structure matching
16.30
Kathleen McKeown and Shimei Pan, Columbia
Prosody modelling in concept-to-speech generation: methodological issues

 

2 NTTデータ英国支店

 

(1)概要

 支店長・菅野氏から、欧州の情報通信産業について総括的な話を聞かせて頂いた。以下、その要点を記す。

 

(2)欧州通信産業はモバイルに強い

 欧州の通信産業は、モバイルに強い。
 イギリスでは特に、携帯電話が普及している。日本と異なる特色としては、小型軽量化よりも、電話機にカードを挿して話すプリペイド・カード方式が発達。課金に対する安心感が主要な理由かと思われる。
 銀行などのカード類は、日本と違い磁気式ではなくICカード式が先行して普及している。現在はセキュリティ対策が主だが、今後サービスの高度化も行なわれるだろう。

 

(3)インターネットは民族によって普及率に偏りがある

 インターネット人口の比率には、国によって興味深い傾向がある。
 概してラテン系諸国は日本(8%)と同程度かそれ以下だが、非ラテン系の諸国は高い傾向がある。特に北欧諸国は30%以上と極めて高い。人口密度や冬に家の中で過ごす時間が長いなどの要因もあるかも知れないが、やはり国民性も関係していると思われる。

(注意)日本のインターネット人口は増加を続けているため、現在では上記の 数値よりも大きくなっていると思われる。

 

(4)英国のインターネット接続プロバイダー(ISP)の接続料無料サービス

 少し前にはISPによるユーザ獲得のための無料パソコン配布が米国で話題になったが、最近、イギリスでは、ISPによるインターネト接続料金無料のサービスが始まっているという。これは、そのISPにインターネット接続が増えると、ユーザからそのISPのアクセス・ポイントへの電話量が増え、電話会社への電話料金収入が増えるので、イギリスでは電話アクセスの多いプロバイダに対して、その電話料金の利益の一部が電話会社からペイバックされる仕組みがあり、これを無料接続の基本コストにまわすことが可能になる。ISPは、顧客が増えれば、ポータル・サイトとしての価値も高まり広告収入が増えるし、電話会社からのペイバックも増える。そこで、より多くのユーザを獲得しようと頑張ってサービス競争をしているとのことだった。

 

(5)アイルランドが欧州外からの展開拠点として注目される

 アイルランドは、ITに関して海外から注目されている。その理由として、

などが挙げられる。 欧州外からの欧州展開の拠点として、今後重要度を増すと見られる。

 

(6)欧州もプラットフォームはウインテル

 パソコンのプラットフォームに関しては、Linux が欧州発祥ながら、日米と同様に今のところはIntel-Windows が主流である。その一番の理由としては、Windowsで作成されたデータがやり取りされるために、結局みなWindowsでなければならなくなってしまうことがあるのではないかと考えられる。
 基本ソフトウェア類がブラックボックス化するのに伴い、研究開発がアプリ寄りになる傾向がある。

 

(7)欧州の特徴的手法「SLA」

 最近、欧州、特にイギリスで先行している特徴的な手法に、「SLA(Service Level Agreement)」がある。これは情報システムの運用などに関する最も大枠の仕様を、開発契約時に定量的に明確にするためのもので、契約社会化の進んだ欧州ならではと言える。現状では 「仕様記述言語」等が開発される段階には到っていないが、形式化手法も徐々に整備されるだろう。

 

(8)その他

 ITに直接の関係はないが、ロンドンの日本食レストランが苦境にあるという。ただ日本食レストランにも、ロンドン在住の日本人を狙ったものと、現地英国人を対象に定着したものとがあり、閉店に追い込まれているのはほとんどが前者。これは日本の不況により、多くの日本企業が撤退したことの影響が大きいとのこと。
 表面的な国際化のもろさを示す教訓を見ることができる。

 

3 シェフィールド大学

(1)概要

 シェフィールド大学は音声処理、特にCASA(Computational Auditory Scene Analysis)と呼ばれる技術領域に関する世界最大の拠点である。
 始めに学内の研究者に対して、奥乃主査から現在の研究に関するプレゼンテーションを行なった後、いくつかの研究室を巡り、それぞれの研究内容を説明してもらった。関連する研究者が一カ所に集中することによって、各研究者が自分の位置づけを明確に意識し、相互にモチベーションを高め合っている印象を受けた。 音声処理というと、日本ではまだ興味中心・研究段階の技術という認識を持たれる向きもあるが、ここでは最初の研究例のように極めて現実的な要求があり、技術も実用的なレベルに近づいている。

 

(2)混合音声の分離

 国防省の依頼により行なっている、軍事利用を目的とした音声分離技術。
 混合音声を各要素に分離する手法としては、複数マイクで採音し、その方向情報を利用することが多いが、ここでは含まれる可能性が分かっている音情報に関する、周波数や周期性などの特性を、予備知識として利用しながら切り分けている。
 プロトタイプを用いて、注目する3〜4の音(とその他の雑音)にそれぞれ分離する実演をしてくれた。

 

(3)BBC放送音声の認識

 BBCから提供されている、最近何年かの放送を録音したCDをサンプル音源として、音声認識・テキストへの変換ソフトを開発している。これらのCDはざっと十数枚のセットで、音声認識・情報検索のコンテスト用に作成されたもの。
 このコンテストに相当する日本版イベント(ただし新聞のテキストデータを用いた情報検索)「IREX」の成果発表会が本調査出発の直前にあったので、これと対比させて見ることができた。
 デモンストレーションでは、既に音声認識した結果がハードディスクにデータ化されていたが、認識・変換は、実際の音声に対しほぼリアルタイムで可能だという。
 ここでは認識の他に、探したい記事を自然言語でキー入力すると、その意味内容に基づいて該当する記事を表示し、同時にもとの音声を再生するインタフェースが作られていて、我々も試すことができた。音声認識精度は極めて高いように思われ、明瞭な発音だけでなくインタビューを受ける一般者の口篭もった発音もきれいにテキスト化されていた。かえってアナウンサーが言い慣れているために早口になった「BBC」が「B・C」になっていたりするのが例外的な認識失敗として目に留まった。

 

(4)情報欠落のある音声の認識

 途切れ途切れのラジオ音声のような情報欠落のある音声や、複数ストリームの音声を与えられたときの認識に関する研究。
 欠落やノイズへの対策は、音声認識の実用化には重要な技術であろう。

 

(5)CASAツールキット

 音声処理に関連して開発されている様々なソフトウェア(自動発話認識、音声の合成、各種解析、表示、etc.)をライブラリ化し、これらを部品として組合わせることによって、目的の機能を持ったシステムを構築するのを支援するフレームワークの開発。

◆研究者から受けた印象

 大学内の研究所を訪ね回り(次節で述べる研究所にも共通して)、感じたことが2点ある。

a.個人の技術力や意識が充実している
「研究」がいわゆる職業的ではなく、研究者の主体的な観点から、何をどうモデル化し、それをどのようなアプローチで処理しようとしているのか、明快に整理されていることが感じられる。作られているシステムの完成度も、一方式の提案というレベルにとどまらず、最終的に実用的な解を提供しようとする強い意図が現われている。しかも、それらを1人あるいはごく小人数で淡々と作成している。情報通信分野でものを作るのには、まず各個人の技術力と意識、を感じさせる。「皆で協力し時間をかける中から」、という旧来の日本的取り組みでは競争できない。
b.研究指向性が強い
技術や意識の質の高さにかかわらず、研究者は研究そのものに満足しているようで、それを用いて自分個人が事業的に成功しようといった野心的態度はあまり感じられなかった。

 

4 SONY CSL パリ

(1)概要

 日本企業関連の研究所ではあるが、所長以下すべての所員を含め日本人はおらず、完全に現地に基盤を置いている。パリ市街地ながら、表通りからやや奥まった静かな地区の一角にある。研究者は特定の製品を念頭に置くというより、技術開発そのものを楽しんでいるようで、いかにも研究所という雰囲気がある。いくつかの研究室を訪ね、研究内容に関する説明を聞いた。

 

(2)エージェント同士の対話学習

 複数のエージェントが、丸や四角などの単純な図形で構成される世界をテレビカメラを通して認識し、その世界についての概念を学習する。さらに学習した概念について、エージェント間で対話するための言語を形成する。
 概念の学習そのものは単純で、昔の素朴なAIの教科書がよく参照した、ウィンストンによる積み木世界での概念学習モデルのようなものと思われる。
 研究の主な関心は、それよりも、知識の追加に伴う、エージェント間での言語の形成にある。エージェントは概念に、論理値を要素とする2次元配列を対応づける。配列の2つの座標軸は単語とカテゴリーを表わす。配列の単語軸は同じ概念に複数の単語が割り当てられる可能性に対応し、カテゴリー軸は、同じ概念が場面によって異なる側面から捉えられる(例えば馬は、動物であったり、乗り物であったりする)ことに対応している。2つのエージェントが対話を通して、同じ概念に対し同じ配列を形成することによって、言語を共有できることになる。状況に応じて、概念を表わすのに適切な単語を用いることも可能になる。

 

(3)人間の音声の合成

 発話・リスニング・記憶の機能を備えた、エージェントの認知機能のインフラストラクチャー開発の一環として、音声・音楽合成を研究している。
 デモンストレーションに用いられたソフトウェアは、テキストを読み上げる音声の合成に際して、パラメータを変えることによって、小さな子供・大人、男性・女性、興奮している・冷静などの感情などの違いを、声色やイントネーションに反映することができる。(余談ながら、このソフトウェアはLISPで記述されていた。既に多くのライブラリを持っていたので、これらを活用して効率を上げるため、とのこと。)

 

(4)複数ソースからなる音のミキシング

 いくつかの楽器の演奏音を混合して合奏の音を構成するシステム。楽器間の音量の比率や楽器の方向など、様々な制約条件を設定しつつ、楽器や聴く人の位置を移動するといったことが、GUIで簡単にできる。原理として難しいことはないと思うが、それを実際に、簡単なインタフェースで使えるよう実現していることに応用上の重要性があるだろう。開発者は、ゲームに応用される可能性にも言及していた。新世代ゲーム機以降、視覚的表現の品質が格段に向上してくると、音声も、こうした技術で現実感を高める要求が出てくと予想される。

 

(5)発話理解に伴う目の動きの実現

 人間は、例えば話し手が「この図は・・」と指差しながら説明するとき、言葉の意味を解析・理解してから指の位置に視線を向けるのではなく、先に視線を移動しつつ言葉を理解する。
 これと同じように、音声情報と視覚情報を併用した認識において、話し言葉の理解フェーズをスキップし、発話と同時に視線を話題の対象に移動することができないか、という研究の紹介。
 これから話される対象について、視覚側で素早く対応を開始することによって、より正確で効率の良い理解を実現したいという発想と思うがまだアイデアの段階のようだ。

◆研究者から受けた印象

 研究所長のSteels氏から「国の開発資金援助の制度をどう思うか」に関する意見を頂いた。氏は「間違いだらけだ」「例えば、何か研究の成果が出ると、すぐ研究者にビジネスを起こせという話になるが、そうすると研究はそこで停滞してしまう。出資者が研究サイドを理解すべく近づいてくるべきだ」と苦言を呈した。(その点で今の環境は研究に専念でき満足している、と補足した。)  純研究者的な立場からの意見であるが、製品化後の技術競争力の持続、あるいは有望な技術を発掘育成できる土壌の形成という観点からは、重要な問題提起も含んでいると思われる。

 

5 CSCWD'99

(1)概要

名称: 4th International Workshop on
"Computer Supported Cooperative Work in Design(CSCWD)" '99
日時: 1999年9月29日(木)から 10月1日(金)
場所: Centre de Recherches de Royallieu/
Universite de Technologie de Compiegne(仏コンピエーニュ)
主催: Universite de Technologie de Compiegne

 ネットワークを通して流れてくる国際会議等の開催リストから抽出したものだが、詳細に関する事前情報は、Web上などにもほとんどなかった。テーマと趣旨説明から推測し、計算機+ネットワークの応用技術として注目すべき発表が期待され、また、どのような会議か押さえておく必要はあるとの判断から、参加の運びとなった。
 現地で配布された名簿をみて驚いたのは、欧州での開催にもかかわらず、参加者の6〜7割が中国関係者だったこと。しかも、海外の大学の在籍者等でなく、本土の研究者も多い。この会議は、今回の開催地にあるコンピエーニュ工科大学と中国科学院から General Chairs が出ていることを知って納得した。
 会議そのものの歴史が浅い(4回目)ためか、内容的には、研究初期段階の調査・考察報告や、CORBAあるいはWebを用いたアプリケーション試作を趣旨とした発表も多く目に付いた。また、主催者・発表者とも不慣れな部分があったらしく、直前になってのプログラム変更が相次ぐなど進行にはラフな面があった。
 しかし参加者には、自分達が中心となって情報通信分野に1つの国際活動を立ち上げていくことに対する非常な誇りと意気込みが感じられた。ちょうど中国の建国50年と重なった最終日の10月1日には、最初のセッションに先立ち、国籍に関係なく会場全体が一体となって万歳三唱をするなど、独特な熱気があった。
 人材が最重要である情報通信技術の分野に、豊富な人的資源を有する国や地域が次々と進出してくるのには、脅威が感じられる。CSCWは研究対象としてのみならず、これまで埋もれていた潜在能力を効率よく発現させる手段としても注目すべきテーマであると思われる。
 Linuxはフィンランドの技術者によって開発され、アイルランドのIONA社はORB製品で有名であるが、前述のNTTデータ・菅野氏の話からも、それらが突発的な現象でないことがうかがえる。そうした状況とも考え合わせ、情報産業、特にソフトウェア産業は従来の「工業先進国」という勢力図とは無関係に成長し始めていることへの認識を強めた。
 会議の発表内容の傾向を見ると字義通りの、計算機支援による共同設計そのものの研究は比較的少なく、CAD、情報検索、ネットワーク利用のアプリケーション一般など、取り上げるテーマに関しては枠を大きく設けているようだ。

 

(2)セッション一覧

 聴講したセッションは以下の通りである。(キャンセル等により並列セッションが1本化されたため、これが全て。)

 

 September 29, 1999

Session 1: Aplications 1
・A Simulation Distributed Cooperative Environment for Domotic Design
Bravo C, Redondo MA, Bravo J, Ortega M
・Computer-Aided Design for Car Designers
Bouchard Carole, Aoussat Ameziane
・The Routine Design for Automated Systems of Production:Cooperation between Two Trades
Degre Yvon, Yvars Pierre-Alain, Frachet Jean-Paul

Session 2: Application 2
・A Structural Model of Human-Human Interaction Interface
Freg Jian, Lin Zongkai, Guo Yuchai
・Coodination Editor of Dispatch Geographical Information - DGISCoEdit
Zuo Ming, Wang Qianping, Hua Gang
・A Coopeative Simulation Approach to the Design and Evaluation of Visual Interfaces in a Train Driving Cab
Zwolinski Peggy, Gouin Valerie, Sagot Jean-Claude

Session 3: Framework and requirements for CSCWD 1
・Building Communities Online
Klang Mathias, Olsson Stefan
・Ontologies as a backbone for knowledge management in cooperative design
Barthes Jean-Paul
・Cooperative Work System Description Model Based on XYZ System
Deng Fang, Ma HuaDong, Li HuaiCheng

Session 4: Enabling Technologies 1
・A QoS Control Testbed for Enhanced Internet
Zhang Yaoxue, Cheng Zixue, Wang Xiaochun, Chen Hua, Shoichi Noguchi
・The Research of Distributed and Cooperative Information Retrieval on the World Wide Web
Wang Jicheng, Zou Tao, Yang Xiaojiang, Zhang Fuyan
・Assistance for Sensory Analysis of Products in Design with the Automatic Indexing Methods in Full-Text
Lamrous Sid Ahmed, Trigano Philippe, Guenand Anne, Cayol Andre
・Knowledge Formation Through Discussions in Electronic Workspaces
Hawryzkiewycz, I.T., Rura-Polley, T., Baker, E.
・Integration of Heterogeneus Information Sources in Electronic Commerce
Liu Yanmei, Song Hantao
・An Approach of Internet for Product Dispatching
Wang Qianping, Zuo Ming, Hua Gang

 September 30, 1999

Session 5: Distance Learning
・First Results from Distance Learning Experiment in Algorithmic
Crozat Stephane, Trigano Philippe
・Effects of Distribution of Information on Group-Concept Learning
Fu Xiaolan, Tan Jing, Shi Meilin, Wu Shangguang, Wan Xiao'ang, Yan Gonggu
・Artemis: Providing Live Course for Distant Learning
Tan Kun, Liou Shih-Ping, Pei Yunzhang, Liu Peiya, Shi Yuanchun, Xu Guangyou
・Collaborative Engineering on ATM: A Case Study
Primet Pascale, Chalon Rene, Andre L
・CAD across Unversities -- An International Collaborative Mechanical Engineering Experiment
Qamhiyah Abir, Ramond Bruno

Session 6: Agents 1
・Java Computing in Distributed Multiagent Systems
Lei Yunqi, Zhao Minzhe, Lin Jian Yu
・Knowledge-Based Extension of Network Management Information Modules
Luo Junzhou, Jun Shen, Gu Guanqun

Session 7: Plenary Session 1
・Variations on a Virtual Design Studio
Mary Lou Maher

Session 8: Agents 2
・Study on the Model of Multi-Level and Multi-Group Cooperative Work Based on Agent
Zheng QingHua, Li RenHou
・A Cooperative Design Approach in MADS
Liu Hong, Lin Zongkai
・A Negotiation Framework for the Establishment of Virtual Organizations
Rocha Ana Paola, Oliveira Eugenio
・May Agents Know When It's Time to Improve Their Skills?
Azevedo(de)Hilton, Scalabrin Edson

Session 9: Enabling Technologies 2
・News: A News Recommending Service for Cooperate Intranets
Fagrell Henrik Inira
・Navigating in NewsSpace
Forsberg Kerstin
・An Application of CSCW and Analysis in LMIS
Zhao Haixia, Liu Lu, Lin ZongKai

 October 1, 1999

Session 10: Enabling Technologies 3
・Supporting Collaborative Information Sharing on Internet Using CORBA and Java
Lang Bo, Li Weiqin
・On Scheduling Dynamic Problems on Distributed Memory Machines
Sun Shixin, Zheng Wenxue
・CSCW Services over DAVIC Intranets
Zhao M.Z., Tan R.A.H, Ho H.C.
・LCML: A Mark Up Language to Support Internet Banking of International Trades
Ng Vincent, Young Gilbert, To Monica

Session 11: Frameworks 2, Applications 3
・An Approarch to the Synthesis of Coordination in Distributed Cooperative Applications
Drira Khalil, Berthomieu, B., Diaz, M.
・A Study of the Computer Supported Cooperative Work System for Crane Design
Wang ShaoMei, Sun Guozheng, Jiang Guoren
・Impacts of PACS on Radiological Work
Lundberg Nina

Session 12: Plenary Session 2
・Simulation of Materials in Mechanical Design with Concurrent Engineering
Jian Lu

 

(3)主要な発表内容

 上記中、いくつかの発表の概要を記す。

・Variations on the Virtual Design Studio
Mary Lou MAHER(University of Sidney)

 仮想共同作業環境の構築において、デスクトップ中心だった従来の機能に対して、プロジェクトごとに仮想世界を構築するアプローチの提案。 そこでは、プロジェクト固有の、空間・建物・通路・部屋などを自由に設計できる。その中に開発に関係するオブジェクトが置かれ、作業者自身も、移動先の仮想世界に表示される。これによって、共同作業者が互いに何をしているか知ることもできる。
(補足)通路や建物は、ポインタやメニューなどに比べて本質的な情報を附加しているわけではないが、実際の画面サンプルを見ると煩雑なデスクトップよりもはるかにストレスが小さい。 最近、在宅勤務やモバイル環境の導入時に公私の境界が曖昧になるモラルの問題が懸念されているというが、そのような精神的な節度に関しても、現実世界のメタファーは有効な解決の鍵になるかも知れない。

・Simulation of Materials in Mechanical Design with Concurrent Engineering
Jian Lu(Universite de Technologie de Troyes)

 CADシステムを用いた機械設計において応力計算をするよく知られた手法は、表面形状を微少な三角形に分割近似する。その際、従来はくびれなどの曲面で分割が細かくなり、効率が落ちる問題があった。これを改善し、十分な精度を保ちながら、表面全体をほぼ一様な大きさの三角形に分割して計算する方法を開発した。
 この研究に関しては、欧州各国のメーカに対して技術提供し、逆に研究資金の援助も受けている。

・A Negotiation Framework for the Establishment of Virtual Organizations
Rocha Ana Paola, Oliveira Eugenio(University of Porto)

 電子商取引の発達により誕生した「仮想組織」の編成機構に関する研究。仮想組織は、ネットワーク上に必要な期間だけ発生存続し、店舗機能などを果たすもの。仮想組織の柔軟で機動的な特性を実現するため、マルチエージェントアーキテクチャによって自動的にパートナー選択する機構の、フレームワークを提案する。エージェントとしては、組織を構成するメンバに対応するものと、「マーケットエージェント」との2種類を用意する。マーケットエージェントは必要時に仮想組織に対応して生成され、要件に基づいてメンバへの呼びかけと選定を行ない、編成をコーディネートする。編成の過程で用いるネゴシエーションプロトコルは、複数の判断基準による評価と、分散制約解決を可能にしている。

・Assistance for Sensory Analysis of Products in Design
with the Automatic Indexing Methods in Full-Text
Lamrous Sid Ahmed, Trigano Philippe, Guenand Anne, Cayol Andre
(Universite de Technologie de Compiegne)

 製品に対する感性的表現の解析を可能とする試み。技術の用途としては、たとえば自動車のドキュメントを探すときに、検索条件を自然言語で入力し、それに適合するものを自動選択するなど。基本的にはフルテキストのインデキシングの手法を使うが、同義語を使われたときに検索にかからない問題がある。この問題の解決のため、「同義語」(ここでは「置き換え可能な単語」ではなく「強い相互関連のある単語」と、緩く定義)を自動的に形成する。単語の関連性の判断は、(1)他の単語との共起性をベクトル化し、(2)ベクトルが似ている単語は関連が強いと判断する、2つのステップによる。これによって、計測可能な値と認識を表わす言葉の間の対応を解析することが可能になる。

・Computer Aided Design for Car Designers
Bouchard Carole(Laboratory Engineering and Design of New Products)

 従来のCADは「開発」フェーズの支援を主とするが、これよりも早い段階の、「設計」に近い支援をするツール、"Computer Aided Styling tools" を考える。典型的システムとして、動物のイメージを用いた自動車のデザイン支援環境をとりあげる。 通常、自動車のデザインは全くのゼロから発想が始まるのではなく、既存の形状、特に動物を参考にしている場合が多い。そこで、データベースにさまざまな動物のイメージを格納し、それに連動したモーフィング機能を提供することによって、デザインを支援する。

・Ontologies as a backbone for knowledge management in cooperative design
Barthes Jean-Paul(Universite de Technologie de Compiegne)

 企業全体としての知識管理・活用を目指す。きちんと規格化されたグローバルなシステムを前提したアプローチではなく、企業を、知識を局所的に生成管理する独立なグループの集まりと捉える。この場合、従来のように種々の知識表現手法(概念モデル、ハイパードキュメント、フルテキストインデキシング等)を用いるのは設計の一貫性の障害となるため、知識管理のバックボーンとしてオントロジーを用いるのが有効と考えられる。(過去の知識管理手法やオントロジーについて、問題点などを整理したという段階で、具体的提言には至っていない。)

 

6 付記

(1)大英博物館見学

 ロンドンでの空き時間に、急ぎ足ではあるが大英博物館を見学する機会があった。
 情報技術との連想で、いくつかの感想を持った。

 膨大な情報をさまざまな視点から検索・整理する支援の必要、あるいは実物は1つしか存在せず、貴重な品々が世界中の各博物館に分散せざるを得ないことを実感し、電子図書館のようなシステムの有用性を再認識した。しかし、実際に博物館に行って見るときの、実物の存在感や本物であるという感慨は、情報以上の作用力を持つ。また目にする角度、光線の具合、他の見学者の行動など、偶然の要素が理解や発想に影響する可能性も大きい。これらの要素は、電子情報システムにとっては困難な壁であるが、同時に、研究の余地を多く提供するものと思われる。

 展示のレイアウトには、列挙や対比、原状の再現などさまざまな手法が見られ、多くの知識と工夫が陰の力となっていることをうかがわせた。一方、見る側にも見方のノウハウが必要である。一般の見学者でも、専門家の着眼点をアドバイスされたら、より興味深く観察できる場合もあるに違いない。電子的システムにおいても、情報の氾濫に伴い、この種の支援の価値はさらに高くなると予想される。

 現代文明の代表的産物として、将来、ソフトウェアを博物館の展示対象としようとすると、何をどう見せるか、難しく思われる。現在博物館に収まっている遺物も、正しくはそのものが重要というだけでなく、背景にあった文化や事実を伝える媒体なのだろうけれども、情報の量やウェイトの点で「情報化社会」は、歴史上かつてないフェーズの開始点なのかも知れない。

 

(2)コンピェーニュ城見学

 CSCWDのコンファレンスのオプションとして、コンピェーニュ城の見学会が開催され、それに参加しておもしろい話があったので、述べておきたい。
 コンピェーニュ城はルイ15世が別荘として建てたものであり、フランス革命がなければベルサイユの次の宮廷になっていただろうといわれている。マリーアントワネットがこまごまと注文を付けた豪華な宮殿であるが、フランス革命が起こったため彼女自身が住むことはなかった。約半世紀後のナポレオン3世の時代に、ここで贅沢を尽くした生活が行われ、現在は博物館となっている。
 見学でいろいろ見たものの中には、中国文化の影響もいくつか見られた。その中で、ただ一つだけ日本文化の影響というものが紹介された。それが何とゲームマシンであった(パチンコ台を少し大きくして横に寝かせたようなもの)。今の情報技術で、世界にほこれる日本の独創技術というと、すぐゲームソフトが連想されてしまうことを考えると、なかなかおもしろい

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