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5. 連邦政府の情報テクノロジ研究開発のための効果的な管理構造の構築

国家の将来にとって、情報テクノロジが重要であるならば、この領域に向けた研究開発に対する連邦政府の財政支援を効果的に管理することも重要である。効果的な管理構造によって、連邦政府が主導する研究開発のポートフォリオにおける主な分野の全体的なバランスがうまく取れていることを確認できるほか、管理部門が研究開発の優先順位を定めたり、議会がこの目標の達成に向けて作業を進められたりできるようになる。またこうした管理構造によって、単一テーマの助成、多岐の専門領域にわたる多分野型プロジェクト、統合リサーチ・センターなどを含め、多様な財政支援が実現されるようになる。またアプローチや支援形態の多様化が図られる結果、当初予定されていなかった新しい発見、問題の多角的な解決、貴重な機会の逸失の回避などが可能になる。

コンピュータ科学とエンジニアリングという領域は、増分的な進化という特性のあるその他の分野と異なり、変化を伴う革新技術という特性を持つ。明日のアプリケーションが、今日に思いも付かない姿に変化することもあり得るため、コンピュータ科学とエンジニアに向けて国家的な規模での投資を続けることにより、革新技術の発展を支えることが重要になる。当委員会では、今日ある商用/科学技術/国家安全保障アプリケーションのニーズの延長として、情報テクノロジ関連の研究を捉えるべきではないと考える。

効果的な管理構造では、次の問題に対応できなければならない。

5.1 担当部局の役割

現在、情報テクノロジの研究開発に向けた財政支援は、さまざまな部局から供給されているため、単独の局が主要な責任部門として、情報テクノロジの支援を担当しているわけではない。こうした制度はこれまでにも、驚くほどの成果を上げてきた。当委員会でも、研究支援の多様性は、重要な要素であるものと考える。

しかし、コンピュータ科学とエンジニアリングの分野における基礎研究への支援という観点から見ると、国家に対する情報テクノロジの重要度と、連邦政府の支援ポートフォリオの足並みが、しだいに合わなくなってきた。当委員会で指摘する予算の増額案は主に、状態の基礎研究用として割り当て、その相当部分をNSF(National Science Foundation:国立科学財団)に充当すべきであると考える。同時に当委員会では、NSFがこの増額分を利用して、コンピュータ科学/エンジニアリングに関する中心的な研究課題として、従来からの役割を再検討し、一段と強化することを推奨する。

これと並行して、情報テクノロジの研究業務を実施するその他の部局では、主な構想の中核部分としてソフトウェアを据え、科学技術関連の基礎研究に対する取り組み再検討する必要がある。たとえば、DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency:国防総省高等研究計画局)の柔軟性と想像力に富んだ管理形態と、専門技術、さらに情報テクノロジに向けた研究開発への効果的な投資実績は、これまでにも多大な成果を上げてきた。各部局の参加は研究の支援やテクノロジの調達の面で、形態や優先事項がさまざま異なる傾向があるため、情報テクノロジ関連の効果的な研究開発プログラムを構築・運用する上で、重要な要素となる。この多様性によって、多方面の見方が相互に作用し合って、幅広い相互の補完効果が得られるため、知的水準の高い問題の追求も可能になる。

こうした情報テクノロジ関連の研究は、長期的な任務の目標によって動機付けられるが、基本的な情報テクノロジの課題を念頭に置いて評価や財政支援を行う必要がある。特定任務を担当する局で着手された開発業務が、当初の主旨とは異なる別の領域に割り当てれられる可能性もある。たとえば、生物医学分野で応用する情報テクノロジ関連の基礎研究は、NIH(National Institutes of Health:国立衛生研究所)が主導し、情報テクノロジ関連の研究と生物医学の基礎研究という2つの観点から検討する必要がある。同様のことは、DARPA、DoE、NASAをはじめ、情報テクノロジにおける特定分野の基礎研究を実施するその他の研究機関にもあてはまる。

推奨案:情報テクノロジ関連の基礎研究におけるNSFのリーダーシップを強化する。NSFには、この役割を果たす上で必要となる資源を提供する。

NSFが、その主導的な役割を果たす上で、基礎研究に向けた適切なレベルの財政支援が保持されるように、部局どうしの協力関係を強化する必要がある。NSFでは、自局の予算しか管理できないが、類似した研究課題を持つ他の部局と連携することにより、すでに解決されている主な問題やニーズを確認したり、基礎研究関連のポートフォリオの問題点を識別したり、また非効率的な部分の解決に向けた作業を着手したりできるようになる。

NSFが、情報テクノロジ関連の基礎研究における主導的な役割を果たすには、多様な支援形態を定義、サポート、および調整できるように、NSF内部の改革が必要になる場合もある。支援形態の例として、多分野型の長期的プロジェクトを実施しているさまざまな規模の研究センターなどが考えられる。またNSFでは、ハイリスク・ハイリターン型の長期的な研究を推進するとともに、コンピュータ科学/情報科学やエンジニアリングの中核部分に十分が資金が充当されるように、変更が必要になることもある。当委員会では、National Science Boardにおける情報テクノロジの配分を現行より、大幅に増強する必要があると考える。

本報告書で提案する研究プログラムを成功させるには、NSF自身が、単一テーマの研究活動を支援する助成金と、限られた数のセンターを組み合わせた既存の形態とはまったく異なるポートフォリオを支えなければならない。たとえば、実験的な研究課題を実施(このような助成金が、別の分野でも提供されているかどうかにかかわらず)するには、長期的(5_7年間の支援)な多分野型研究プロジェクトが必要になる。これらのプロジェクトの中には、応用研究と技術移転が含まれるものもある。またプロジェクトによっては、必要な研究分野への努力を集中させるためにDARPA型の研究を支援すべく、具体的な提案要求に応じて支援されるものもある。ポートフォリオにはこうした特長があるため、テクノロジの研究と科学の調査を効果的に融合させなければならない。

CISE(Computing and Information Science and Engineering)理事会が提唱する情報テクノロジ関連の基礎研究を支援するために、情報テクノロジに向けた予算の増額分のうち40_50%をNSFに充当する必要がある。残りは、別の研究機関に割り当てる。NSFへの増額分のうち大部分は、新しいプログラムや支援形態に充当する。残りの予算は、プロジェクトの規模や期間の拡大に応じて、CISE内部の従来からのプログラムに割り当てる。

5.2 情報テクノロジ関連の研究開発に関する方針と調整

国家の経済、安全保障、利益などに対する情報テクノロジの重要性を考慮して、当委員会では現政権の情報テクノロジ関連の研究開発に対する優先順位を再検討して、高度な集中管理の体制と機構を確立すべきであると考える。

推奨案:情報テクノロジ関連の研究開発に向けて、Senior Policy Official(方針管理次官)を任命する。

情報テクノロジは、国家にとってきわめて重要な要素となる。たとえば、今日の革新技術や科学技術に関連した発見の多くは、国内の7,000億ドル規模の基幹産業に相当し、次世紀にはさらなる革新を遂げる高い可能性を持っている。当委員会では、情報テクノロジ関連の研究開発を実施する上で、たとえばホワイトハウスにおけるその他の研究分野の場合と同様に、取り決めた方針を広く告知する必要がある。個々の研究課題の重要視することにより、連邦政府は、情報テクノロジに関する問題についてタイミングのよい助言を得たり、戦略的なアプローチによって適切な研究開発への投資を決めたりできるようになる。個々の責任が集約される結果、ホワイトハウスでは、米国が世界経済の主導権を維持していく上で、情報テクノロジの長期的な開発業務を支援、促進、強化、調整するにあたり連邦政府レベルの意思決定を下せるようになる。

推奨案:戦略的プランニングと管理を提供する高度な方針と調整委員会を設立する。

調整の主な目標は、連邦政府の情報テクノロジ研究ポートフォリオが積極的に展開され、国家の緊急ニーズに対応すべくバランスよく構成されていることを確認することにある。連邦政府の数多くの部局で、情報テクノロジ関連の研究開発を支援しているため、部局間の業務の高度な調整機構が必要になる。調整委員会は、各部局の方針/予算編成の責任者である局長で構成する。この調整委員会は、大統領直轄のAssistant for Science and Technologyの直下に置かれ、情報/通信テクノロジの開発・応用を研究しながら、連邦政府の研究開発業務の全体的な作業効率と生産性の向上を図る。また調整委員会では、各部局間の境界を越えて国家な重要な方針にかかわる問題の対応にも当たる。これ以外に、研究プログラムの目的を設定して、実際の活動が目的に合った方向で進行しているかどうかを検証するほか、全体的な連邦政府のプログラムが、バランスよく、重要課題を網羅しているかどうかも判断する。

調整委員会は、本報告書で提案した予算の増額によって生じる業務も含め、連邦政府の情報テクノロジに関連した研究開発全体の活動を対象に調整を行う必要がある。既存の管理構造には、これまで連邦政府のCIC(コンピューティング/情報/コミュニケーション)プログラムに関連する研究開発の活動が一部、調整の対象となるCICの範囲から除外されていたため、情報テクノロジ分野に対する連邦政府の投資の明確な全体図を把握しにくいという問題があった。情報テクノロジの業務における調整によって、研究開発に対する主要投資をはじめ、人材、供給部品などに対する投資をすべてが統合されるようになる。たとえば、ハイエンド・コンピューティングの調達も、調整対象のプログラムの中に組み込む。

推奨案:HPCCプログラムの調整モデルを拡大して、連邦政府が主導する主要な情報テクノロジ関連の研究活動を支援する。

調整プロセスを成功させるには、組織全体を通じてホワイトハウスと各部局自体を支援する強力なスタッフを配置する必要がある。National Coordination Officeと担当部局の代表者から成る作業グループの協力は、部局間の協調関係を表す効果的なモデルとなる。当委員会では、このモデルをさらに拡張して連邦政府の情報テクノロジに関連した研究開発業務とNCOにも適用することにより、部局間の調整と当委員会で推奨する管理構造の支援を強化することを推奨する。

5.3 サポートと実現

情報テクノロジを中心とした長期的なハイリスクの研究を復活させるという目標を達成するために、連邦政府の予算当局は単一テーマ型の研究をはじめ、多様な専門分野にわたる多分野型研究プロジェクトや研究センターの活動を含め、幅広い種類のプロジェクトを支援していかなければならない。また、真の技術革新を生み出す上で必要となる展望のあるプランニングを策定する場合に、ハイリスクのプロジェクトが完了して成果を上げるまでの長い期間にわたって、こうした活動を財政的に支援していく必要がある。さらに、コンピュータ科学における効果的な研究には、その他の分野のコンピュータ科学者をはじめ、分野、担当部局、業界、コミュニティなどの異なる研究者との連携作業が不可欠になるため、さまざまな支援形態によって、協力作業が可能になると同時に、厳しい制限からも解放されることになる。研究プロジェクトには、技術革新の目標を達成するための最善の方法で自由に編成できる柔軟性も確保されなければならない。

推奨案:各チームが実施する研究開発を重視しながら、より広い分野と長期のプロジェクトが含まれるように、研究支援形態の多様化を図る。

1970〜1980年代にかけてDARPAのコンピュータ科学者らは、斬新な発想をもとに将来の方向性を模索・想像するという業務に取り組んでいた。研究者には十分な資源と時間が与えられたため、次回の提案について気を惑わすことなく、本来の課題にじっくり取り組むことができた。この結果、音声認識、ロボット工学、チップ設計、ハイパフォーマンス・コンピューティング、マシン・ビジョン、人工知能、仮想現実といった画期的な技術革新が生まれてきた。今後、当委員会が、情報テクノロジの研究に向けた連邦政府全体の財政支援プログラムについて期待するのは、以上のような考え方の復活と継承である。

現在、NSFが実施している基礎研究への支援はその大部分が、単一テーマを助成するものである。これは確かに、研究ポートフォリオの重要な要素には違いないが、情報テクノロジはときに、規模が小さくても、劇的な成果を上げることがある。DARPAは、数十年にわたって、こうしたモデルを効果的に利用してきた。現在では、NSFを含め、各支援当局のポートフォリオを構成する重要な部分をなしている。当委員会では、情報テクノロジにおけるチーム研究は、少なくともNSFを含め、単一テーマの研究と同じように重視されるべきであると考える。また、各機関の代表者からなる研究チームのプロジェクトにより、一貫性のある国家規模の研究コミュニティが形成されるようになる。

推奨案:情報テクノロジ関連の研究を主導するため、応用に向けた協力作業を支援する。ただし、研究の主目的はあくまで保持する。

情報テクノロジ関連の研究に関する一義的な目的は、商業面/社会面で応用できる成果を上げることにある。したがって、情報テクノロジを応用できる具体的な分野を理解し、この知識をもとに、新しい情報関連の戦略に展開していくことが重要となる。当委員会では、連邦政府が情報テクノロジ関連の研究者とアプリケーション開発者の間での協力関係を引き続き支援することを推奨する。ただし、支援プログラムは研究活動本来の主目的が失われないように、内容を慎重に検討する必要がある。

1990年初頭に実施されたHPCC(High Performance Computing and Communications:ハイパフォーマンス・コンピューティング/コミュニケーション)プログラムの主な目的は、大規模な応用を考案して、並列コンピューティングに関する研究活動を主導していくことにあった。この構想をもとに、アプリケーション開発者とコンピュータ科学者で構成されたチームが協力することにより、並列コンピューティング・プラットフォームを使用して主要なアプリケーションを再構築することにより、数多くの有効なコンピュータ支援テクノロジを開発してきた。残念ながら、こうしたプロジェクトの多くが、納期やアプリケーション・プラットフォームの条件に大きく制限されるため、即戦力となるコンピュータ科学の研究以外は、その大部分が放棄されてきた。

長期的な基礎研究の重要性を再度強調するために、通常は実用化までには多大な時間を要するため、研究業務の原動力となるアプリケーション・プロジェクトに直接的な影響を及ぼすには至らないことは多いという事実をここで再認識する必要がある。たとえば、コンピュータ・アーキテクチャの研究者が、コンピュータ流体力学の科学者と協力して、アプリケーションに向けた最適のコンピュータを設計する場合、結果として完成するアーキテクチャを作用したマシンでは、2_3年間という限りのある時間枠の中では、ごく限られたアプリケーションしか実行できない。長期的な研究活動を促進するための支援プログラムでは、こうした状況が許される。事実、情報テクノロジに関する研究と、実際のアプリケーションにおける発展とは、同等の価値があるものとして、支援プログラムを策定する必要がある。

推奨案:"Expeditions into the 21st Century"(21世紀への探究)を支援する。

適正規模のプロジェクトを設置しただけでは、国家のリーダーを維持する上で必要となる長期的な研究活動全般に対応することにはならない。真の意味での革新的な影響をもたらす研究業務を促進するために当委員会では、"Expeditions into the 21st Century"(21世紀への探究)と"Enabling Technology Centers"(未踏技術開拓センター)という2つの機関を設置することを推奨する。前者は、将来的なテクノロジの課題について長期的に取り組む。後者は、国家的に重要な問題に適用するアプリケーションについて研究する。

"Expeditions into the 21st Century"は、「テクノロジの未来に生きて」いくために産官学を代表する科学者、エンジニア、コンピュータ技術者を集める仮想センターである。この調査の目的は、質量的に今日の水準を上回るテクノロジを利用して実現できるものを国に報告することにある。基本的に、この仮想センターでは、今後実現されると予測されるテクノロジについて現段階から探索するための「タイム・マシン」を作成する。LewisとClarkの調査が予測を超える拡張と経済の成長をもたらしたのと同様、情報テクノロジに関する調査で追求するアイデアによって、予測の域を超えた成果と将来的な産業の育成が可能になり、雇用の創出と国家全体の利点をもたらすようになる。

この「将来に住まう」というアプローチには、いくつもの前例がある。民間部門で最も有名な例は、PARC(Xerox Palo Alto Research Center)であろう。PARCでは、個人が使用するコンピュータ・ネットワークを実験的に作成した。この研究所の努力は、今日のパーソナル・コンピュータ、グラフィカル・ユーザー・インタフェース、ポインティング・デバイス、レーザ・プリンタ、分散ファイル・システム、WYSIWYG形式のワードプロセッサなど数多くの革命的なテクノロジを生み出した。大学機関では、MIT(マサチューセッツ工科大学)のメディア研究所が、同様の調査を実施している。最後に、今日のインターネットの原形となったARPAnetの例も忘れてはならない。

当委員会では、さまざまなテーマを中心とした多様な調査を財政的に支援することを推奨する。主なテーマは、バイオ情報工学やマルチスケール・エンジニアリングといった具体的な分野を専門としたものから、分散データベースや遠隔イマージョンといったインフラストラクチャ・ベースの主題までさまざま考えられる。コンテキストを定義するために、調査のテーマは、たとえば遍在コンピューティングや大規模シミュレーション(la Gelernterのミラー・ワールド)といった今日実現されていないものを仮定した主題を扱うものとする。いずれの仮想センターも、単一の前提だけに限定される必要はない。むしろ、前提とされる領域全般、また可能であれば、将来のマップの一部を調べるために必要な資源を十分に確保することが重要である。

いずれの調査でも次のような活動を実施することとする。

提案された調査に向けた支援を判断するときの基準は次のとおりである。

当委員会では、最低5つの調査項目を策定し、そこから競争によって最終的に中核部分の活動を選び出し、標準プロセスを確立して参加する研究者を選定することを推奨する。競争は定期的な間隔(3年に1回程度)を置いて実施する。これにより、新しい構想が引き続き流れやすくする。こうした「仮想センター」では、各分野の研究機関からの代表者を参加させる。各仮想センターには、最初の5年間について財政支援を充当することに同意させ、以降は5年間は更新形式とする。調査の期間は最大10年間とする。積極的な努力を促すために、年間の助成額として、センターあたり最大4,000万ドルまで認める。

推奨案:”Enabling Technology Centers”(未踏技術開拓センター)の設立

当委員会では、情報テクノロジと通信テクノロジの具体的なアプリケーションに応用した高度なコンピュータ科学とエンジニアリングを中心としたテクノロジ・センターを確立することを推奨する。大学や連邦政府の研究機関に接地するETC(Enabling Technology Centers:未踏技術開拓センター)では、産官学を統合した環境によって、次世代情報テクノロジの応用を中心とした国家の重要課題に対応する。情報テクノロジと通信テクノロジの明確な区別は、さまざまなアプリケーション領域で現れる。たとえば、コンピュータ科学/エンジニアリング、医療、行政サービス/デジタル行政の提供、危機管理、環境の監視、生涯教育、法律の執行、公共の安全、芸術、文化、人文、インテリジェント輸送システム、身体不自由者の生活改善、業務の分散化(テレコミューティング、地理的に分散したチームの連携作業)などが考えられる。

“Enabling Technology Centers” は、テクノロジの応用と開発を中心とした研究活動を実施する。ETCセンターの研究者は、特定のアプリケーション領域を支援するための情報テクノロジに関連した研究開発を行うほか、学生や中堅の専門技術者に向けた新しいカリキュラムの開発、実験への参加、特定のアプリケーション領域に向けた情報テクノロジの大規模な導入に伴う障害の識別といった作業を行う。

ETCセンターは具体的に次のような機能を果たす。

ETCに向けた財政支援を、特定のアプリケーション領域に関心を持つミッション指向の部局と、情報テクノロジの研究を幅広く支援する代行部局(たとえばNational Science Foundation)の間で共有する必要がある。

特定のアプリケーション領域に関心のある研究者のクリティカル・マスを維持するために十分な期間と規模を確保しなければならない。当委員会では、Science and Technology Centerの支援モデルに基づいて各センターを財政的に支援することを推奨する。ETCの期間は最大10年間とする。センターあたり年間の助成額は最大1,000万ドルまでとし、同時に15か所のセンターまでサポートすることを推奨する。また3年ごとに競争入札を実施する。

5.4 年次レビュー

推奨案:研究の目的と支援形態について毎年1回レビューを実施する。

調整委員会とPITAC(大統領直属情報テクノロジ諮問委員会)が協力して、研究活動の目的を検証する。まず大統領の諮問委員会の役割を果たすPITACは、NSTCサーバを使用して民間部門に情報テクノロジの分野に関する助言を行う。一方、調整委員会では、政府組織内部での高度な助言を提供する。

調整委員会では、諮問委員会からの忠告に基づいて、毎年研究プログラムのレビューを実施し、調整委員会に任された目標が達成されているかどうかを検証する。特に、プログラム、センター、学際的な多分野型研究プロジェクト、テストベッドをはじめ、ソフトウェアや長期的研究を中心とした新しい形態の支援に提案された支援形態が犠牲になっていないこと、またこれらの研究支援形態が、当初の目的を果たしていることなどを検証する必要がある。

このプロセスでは、連邦政府の研究開発ポートフォリオがバランスよく構成され、総合的で効果的に調整されるように、高度な次元から検証を行う。個々の原理どうしで、率直で全体的な意見交換の機会が最大限に生かされるように、検証の形式、準備プロセス、実施形態は厳しく制限しなければならない。検証プロセスの目的はあくまで、科学技術関連の研究業務を調整することにあるため、このプロセスの形態は、従来の委員会のあり方に比べ、科学技術分野の研修会の性格に似ている。

5.5 調査結果

予算に関する推奨案:2000〜2004年度にかけて、情報テクノロジ関連の研究開発活動を拡大する。

表5.1に、本報告書で提案する4つの重要な研究課題に対し、増額すべき財政支援の詳細をまとめてある。各研究課題の説明、およびそれぞれ対応する財政支援に関するテーブルは、第3章と第4章に示してある。財政支援に関する推奨案は、現行(1999年度)の連邦政府が支援する情報テクノロジ関連の研究開発プログラムに追加する課題として、今後拡大する研究活動を表したものである。

情報テクノロジ関連の研究開発について推奨する増額(単位:100万ドル)

  FY 2000 FY 2001 FY 2002 FY 2003 FY 2004
ソフトウェア

112

268

376

472

540

スケーラブル情報インフラストラクチャ

60

120

180

240

300

ハイエンド・コンピューティングの調査

180

205

240

270

300

ハイエンド・コンピューティングの調達

90

100

110

120

130

社会/経済

30

40

70

90

100

合計

472

733

976

1192

1370

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