国家の利益は、今後も発展する情報テクノロジが潜在的に持っている社会/経済面での効果を、いかに深く認識するかに依存する。情報テクノロジ・ベースの変化が進む速度が増すに従って、しだいに表面化する問題についてもよく理解する必要がある。画期的なテクノロジがもたらす約束を実現するには、こうした問題の識別、認識、予期、そして対応に向けた研究開発への投資が不可欠になる。今、社会、経済、および政治の問題に関する認識を深めるためのデータが求められている。私たちの社会や経済が意義のある方向で発展するように、知識を切り開くための研究が適用分野の面でも、また将来性の点からも、幅広く長期的に、しかも大規模に展開されなければならない。
全米の国民が、この新しい時代を迎えるにあたり、十分な準備をしておかなければならない。このためには、K-12レベルの教育に始まり、高等教育に至るまで、総合的な教育制度を整備する必要がある。情報テクノロジの労働力として求められるスキルを向上し、全体的な労働力の情報テクノロジ・リテラシを強化するために、私たちの社会に不可欠となる情報テクノロジに関連したスキルを中心とした教育を集中的に強化することが重要になる。また、米国全体が豊富な人材を有効利用できるようなプログラムにも重点的に対応する必要がある。
情報化時代には、民族、性別、身体的能力、収入水準、地理的条件などの面で格差があってはならない。また情報テクノロジには、個人のプライバシを厳しく保護しながら、アクセスできなければならない。また幅広いアクセスを提供するプログラムでは、社会やテクノロジにかかわる条件や最新の開発傾向をよく理解した上で、最も有効で効率的な方法により、必要な相手にアクセスできなければならない。
情報テクノロジは、あらゆる国民や機関に対する情報の流れを飛躍的に改善するとともに、民主主義の強化、不公正の是正、アクセスの強化に向けた強力な手段となる。しかしこうした潜在能力を引き出すには、具体的な目的と総合的な基準が必要になる。具体的な目標と、変化の影響を正しく評価するための詳細な調査を実施し、こうした調査から得られる知識を効果的に活かしていくための適切な方策も不可欠の条件となる。
調査結果:特にインターネットの急速な拡大と地球規模の商取引が実現されるなかで、情報テクノロジの応用は、複雑で重要な課題を抱えている。
情報テクノロジの利点を実現するにあたり、先の章で指摘したさまざまな技術上の課題に加え、社会、政治、および法律の面にかかわる数々の障害も明らかになっている。たとえば、第1章で取り上げた医療形態の変化に伴う共通認識の問題を再び考えてみる。遠隔医療が一般に普及する以前に、情報テクノロジ関連の研究によって、解決しておくべき技術上の課題がいくつかある。しかし、社会/経済や方針に関する主な課題から生じる問題の解決方法が、さらに深刻な障害を生んで、適切な遠隔医療を実施できなくなることも考えられる。具体的には、患者レコードのプライバシ/セキュリティの保護、保険会社による患者レコードの利用、州ごとに異なる医師免許の規定、オンライン環境における患者と医師の信頼感の確立といった面で解決すべき問題が数多くある。同様に、電子商取引が広く普及するようになれば、セキュリティを一段と強化し、オンライン環境での各当事者どうしの安全性と信頼感を保証するための機構が必要になる。コンピューティング/コミュニケーション7がもたらす社会/経済的な影響について詳しく研究すれば、こうした重要な問題が一部解決されるようになる。
また幅広いアクセスが可能になるネットワーク環境では、情報テクノロジの利用によって、また新たに方針上の問題が生じてきている。たとえば、個人のプライバシ、知的財産権、電子署名、特定のコンテンツ(ポルノや煽動的表現など)の規制といった問題が挙げられる。
規制の方針にかかわる複雑で重要な課題の例として、プライバシの問題がある。多くのアプリケーションにとって、情報の管理と分析は不可欠の条件になる。ユーザーやアプリケーションの利用に関する情報は、サービス・プロバイダがビジネスを展開したり、政府や医療機関が具体的な情報に基づいて効率よく個人的なサービスを提供したりする上で、有効な手段となる。しかし、これは、個人的な情報が完全に保護されて初めて、可能になることである。システムが信頼できなければ、この利点は著しく阻害されることになる。作成するアプリケーションにとって、プライバシの情報を保護することは必須の条件となる。今、市民が政府や企業と協力しながら、最適の規制を定める急務となっている。市民の安全を保護することと、煩雑で官僚的な手続きを定めることには、明確な違いがある。
国際的には、European Union Privacy Directiveでは、情報のプライバシに関する規制が緊急課題として指摘されている。ヨーロッパ連合の法律によれば、EUでビジネスを実施する企業は、European Union Privacy Directiveで規定されるプライバシの原則に従わない諸国(米国など)には個人情報の送付が禁じられている。こうした規制は、米国の電子商取引には、多大な影響を与えることになる。
調査結果:規制に関する方針の決定と情報テクノロジへの投資は、社会に対する情報テクノロジの影響に関する研究やデータが不足したまま行われている。
私たちの個人生活や職業活動と、情報テクノロジとの統合は、偶発的に生じるものではない。今、私たちが体験している数多くの変化は、それなりの意思決定の結果として生じているものである。情報テクノロジ関連の研究と統合のペースが加速化するに伴い、私たちの日常生活には多大な影響と作用をもたらす意思決定が一段と増えることになる。影響の範囲は計り知れず、私たちの子孫が小学校で初めて接する情報テクノロジの形態から、果ては国内の輸送/通信インフラや経済活動のあり方に至るまで多岐に渡る。一般には、情報テクノロジの実現に向けた決定が、該当する研究によって適切には伝えられないことが多い。事実、情報テクノロジを実現した段階で、当初の意図とは裏腹の結果が生じることも少なくない。
情報テクノロジ関連の問題について、現在交わされている議論や方針上の意思決定を適切に伝えるために、社会に対する情報テクノロジの影響に関する社会科学的な研究を強化する必要がある。こうした研究の結果、情報テクノロジの研究者は、規制上の複雑な問題(たとえばメタデータのタグに関する新しい標準の確立、知的財産権を管理するためのマイクロペイメント)にも対応できるようになる。また、社会科学の研究成果は、実際の情報システムの設計の上でも貢献する。たとえば、グループウェアの設計は、情報を共有化する形態や意思決定の方法に関する研究の結果に基づいて進めることができる。
公正とアクセス
調査結果:あらゆる市民が、情報テクノロジにアクセスできなければならない。
大統領は、1998年6月5日、MITの卒業式典の祝辞の中で、本報告書で推奨している飛躍的な技術革新が全米規模でもたらす無限の可能性に関する構想を繰り返し強調した。米国が、こうした構想を支援していく上で直面する課題の1つとして、全市民に対して、この種の可能性をいかに提供するかという問題がある。地球規模の経済における競争が激化するに伴い、単に地理的条件や経済状況の面で恵まれた米国民に限って機会を提供しただけでは、貴重な人材が無駄になる。特に教育環境(K-12やその他の高等教育)における情報テクノロジのアクセスおよび運用は、21世紀における情報社会で米国民が生産的に生活できるように、スキル・ベースを構築する上での前提条件となる。また、国家規模の研究活動を維持していく際に不可欠となるIT関連の有能な研究者の関心を浸透させ、技能を育成する上での重要なステップとなる。
情報テクノロジは、社会的/経済的な不公正を是正し、身体的能力の差から生まれる問題を緩和するための手段ともなる。情報テクノロジ関連のツールやアプリケーションによって、人種、性別、身体の不自由さ、年齢、収入、場所といった差を取り払う機会が提供される。最も広く普及した応用例の1つであるインターネットを通じて培われる文化的な価値を含め、有力なテクノロジの品質により、国の内外を問わず、すでに社会的な相互作用や経済上の機会のあり方に変化をもたらしてきた民主化の能力を備えている。これまで、情報資源に対する均等のアクセスを保証する上で、公共図書館は重要な役割を果たしてきた。また、公共図書館はあらゆる人々にインターネットの資源と通信機能への平等なアクセスを保証する意味でも、きわめて重要な役割を持つ。全国規模の公共図書館を通じて、平等のアクセスを保証するための基本的な役割が維持できるように、考えられる影響、費用、そして潜在的な資金源などを詳しく調査することが重要になる。
実際には、インターネットへのアクセスや、情報テクノロジの変革に関与していく上で、民族的な格差が広がっているのが現状である。たとえば、白人アメリカ人はアフリカ系アメリカ人に比べ、勤務先でPCを使っていること傾向が強いため、自宅の内外を問わずインターネットへのアクセスやWebの利用がしやすくなる8。同様の格差は、ラテン系アメリカ人、ネイティブ・アメリカンなどのマイノリティ・グループにも見られる。National Telecommunications and Information Administration(NTIA)が最近の発表した調査結果からも、インターネット利用における民族間の格差が広がっている実態が報告されている。
インターネットの利用について、民族間の格差が解消されないと、国家的にはきわめて深刻な影響が及ぶようになる。米国社会全体のうち、相当な割合を占める部分でインターネットに対する均等なアクセスが保証されない限り、国内の企業は適切な技術や能力を備えた人材を雇用できなくなる可能性がある。白人とマイノリティ・グループの間に見られる雇用機会と賃金の格差がますます広がる結果、国家全体として多大な悪影響を被ることになる。確かにインターネットは機会均等という平等のチャンスをもたらすが、これはアクセス権のある人々に限ったことに過ぎない。
調査結果:情報テクノロジへの全面的な参加を促すには、広帯域幅による接続が不可欠になる。
情報テクノロジに関連する研究や教育を実施するには、必要な情報へのアクセス、地理的に分散した大学どうしの連携、最先端のテクノロジ資源(天体望遠鏡、電子顕微鏡など)へのアクセスを提供する高速のネットワーク接続が不可欠になる。地方にある規模の小さい大学での科学者、教育者、学生はときに、vBNS9やその他の高速インターネット・バックボーンへの接続ができないために、最新の研究結果や教育の機会にアクセスできないことがある。EPSCoR(Experimental Program to Stimulate Competitive Research)は、全米18州に加え、これまで協力関係が立ち遅れていたプエルトリコの各機関の参加を促進するために設置された制度である。これ以外の州にも、規模の小さい地方の大学が数多く存在する。特に本報告書で提案した"Expedition"センターなどで共同研究への全面参加は、広帯域幅による接続が提供されない限り、現実性はない。
労働力
調査結果:情報テクノロジに関連する労働力の供給は、実際の需要水準に満たない。
業種を問わず、全米の主な企業のCEO(最高経営責任者)は一様に、今後10年の間に米国が競争力を維持していく上での最大の課題として、技術的な労働力の強化を挙げている。10エンジニアリング、コンピュータ、情報科学の分野で、適切な専門トレーニングを受けた優秀な人材を確保すること、すなわち単なるスキル・ユーザーだけにとどまらず、高度なテクノロジの研究者、制作者、設計者などを含め、優れた専門家を十分に供給できることが不可欠となる。この動きの激しい世界で、こうした優秀な人材は常に自分の知識を技能を高めていかなければならない。
今日、極端な供給不足の状況があるため、将来の見通しは決して明るくない。情報テクノロジ分野の成長と、優れた人材への需要の拡大は急速に進んでいるものの、コンピュータ・エンジニアリングやコンピュータ科学を専攻した学生の数が極端に少ない。学士レベルのトレーニングが必要となる技能に始まり、情報テクノロジ専門の人材はきわめて不足している。特に大学院レベル以上の学位が要求される職種には、おびただしい空席がある。昨年提出した当委員会の中間報告では、短期的な対策としてH-1Bビザの発給枠の拡大を提案したが、この処置も長期的な対策としてはそれほどの効果は期待できない。
米国の労働力として、潜在的には情報テクノロジに関連する相当数の人材が隠れている反面、雇用者側は情報テクノロジの分野で国外から新しい人材を調達しているという現状がある。これには、経済学者が「適合性の問題」と呼ぶ一種の「市場崩壊」の危機をはらんでいる。人材確保に難航している情報テクノロジ関連の雇用者の多くが、資源に限界があるために、適切な教育やトレーニングを提供できていないことも明らかになっている。また、最新のトレーニングを受けた従業員との競争を恐れるため、雇用に消極的なところもある。一方、情報テクノロジのキャリア追求のために教育やトレーニングに積極的な姿勢のある潜在的な人材は多いものの、これに伴う費用(高額なこともある)を負担するとなると躊躇する者も多い。仮に積極的であっても、従業員として雇用されているため、フルタイムで学習に専念することは難しい。また労働力に関する問題を全面的に解決するには、進出の遅れが目立つグループからの雇用を強化し、全国規模でK-12水準の教育を実施する必要がある点を認識する必要がある。これらの問題については、次項の調査結果をもとに詳しく説明する。
調査結果:情報テクノロジに精通した多様な労働力は、これからの情報化時代に対応できる国家を作る意味で重要な役割を果たす。
情報テクノロジに精通した労働力を育成するために、国家の潜在能力を全面的に引き出すことが重要になる。米国では、これまで科学技術や情報科学の分野での進出が遅れている女性やマイノリティ・グループの中に有能な人材が潜在していることは間違いない。アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、ネイティブ・アメリカンを合わせると、全米の労働力の約1/4に達する。これは大卒人口の30%、全体の出生率の1/3に相当する。しかし、こうしたマイノリティ・グループが占める割合は、全米のコンピュータ科学/情報科学関連の労働力(学位レベル)のうちわずか6.7%、エンジニアリング系の労働力では5.9%、また国内のコンピュータ科学関連の教授陣では1.7%、さらにエンジニアリング系の教授陣では4.9%に過ぎない11。また女性は、仮に学位があっても、コンピュータ科学とエンジニアリングのいずれの分野も進出率は低く、まして学界や産業界となると一層この傾向は強い。
こうした実態、傾向、問題は、今米国で求められている情報テクノロジの労働力を育成するための多大な機会が存在することを表すものである。しかし、テクノロジ関連の労働力を強化し、経済的な競争力と繁栄を維持していくには、全体の人口のうち雇用の遅れているグループの人材を育成していく以外に方法はない。
調査結果:K-12、その他の高等教育は不十分であるため、情報化時代における課題には対応できない。
情報テクノロジ革命の成果として、米国民が仕事の上でも、個人的にもその利益を享受し、また国家が情報テクノロジ関連の教育を受けた有能な労働力を育成するのであれば、個々の学生が情報テクノロジに関する具体的な側面を学習して、それぞれが高度な専門知識を身に付けていかなければならない。これは必ずしも、どこでも実践されているわけではない。将来的に必要とされる情報テクノロジ関連のスキルを習得する機会さえ与えられない子供が数多い。大人の世代でも、情報テクノロジ分野の仕事に就けるように、学習を続けたり再教育を受けたりするための機会が限られている。また、情報テクノロジ関連の労働力を育成するための教育制度も整備されていない。
当委員会では、人材の育成について次の2つのカテゴリに分けて推奨案を考えている。1つは教育/トレーニング、もう1つは労働力に関する方針と研究活動の強化という点である。まず、上で指摘した問題に対応するには、新たな研究活動と根本的な路線変更が不可欠になる。当委員会で推奨する研究活動は、従来まで科学技術の分野を支援してきた部局の内部で十分に助成できる。ただし、この種の研究活動に充当する適切な支援についても検討する必要がある。
推奨案:連邦政府のイニシアチブと、行政・大学・産業界の相互協力を拡充し、情報テクノロジ・リテラシ、教育、アクセスを強化する。
本報告書で提案する研究課題を実現するにあたり、連邦政府が協力関係を確立して、情報テクノロジ・ITリテラシ、アクセス、研究活動の発展に向けた機会を提供していくことが肝要となる。同時に連邦政府は、労働力のスキルや能力開発に関する問題に対応すべく、情報テクノロジ・リテラシとアクセスの強化に向けた機会を拡大する必要がある。次に、具体的な推奨案を示す。
推奨案:情報テクノロジに伴う方針上の問題に関する連邦政府主導の研究を強化する。
情報革命によって社会のあり方に変革が起きるようになると、市民の情報プライバシや知的財産権の保護、検証可能な署名機能の提供、情報の妥当なアクセス権の制御といった問題に対応していかなければならない。これに伴い、新しい方針や手続きが不可欠になる。一例として、最近よく取り上げられる情報プライバシの問題を考えてみる。
産業界が主導権を持って、プライバシに関する基準を確立・運用していくのは妥当なことである。産業界が適切な対応ができなくなった場合、あるいは医療や未成年者の保護といったきわめて微妙な領域に立ち入る場合は、政府レベルの規制が必要になる。
インターネットにおける個人情報のプライバシ保護に関する方針を評価、および確立する必要がある。また、オンラインの消費者を保護すべきであるという主旨の教育プログラムを産業界が実施するのも、ビジネス上には効果のある方法である。行政と産業界の協力のもとに、こうした努力を支援する必要がある。
当委員会では、次のような問題を中心としたプライバシ保護に関する課題について詳しい研究を実施することを推奨する。
推奨案:社会/経済面での問題に関連する情報テクノロジの研究を支援する。
テクノロジの変化によって生じる社会/経済面に関する問題は本来、多岐の分野にわたる調査を必要とするため、社会、経済、および方針に関する主な問題を詳しく研究する必要がある。この面での研究は、インターネットなどの情報テクノロジに伴う具体的な側面と連携させることも、またより幅広い観点から実施することもできる。いずれの方向であれ、社会/経済の問題に関する研究は、具体的な技術上のテーマを中心に、"Expedition Center"や"Enabling Technology Centers"で実施する。これらのセンターでは、研究の対象範囲を定義、承認した後、社会/経済に関する課題を中心に実験的な調査に必要となる研究活動の規模を定め、適正規模の研究チームが多方面の調査を実施し、研究成果の洗練化に必要な十分な時間を確保するようにする。
この種のセンターでは次のような領域の課題を中心に研究を実施する(必ずしも、これだけに限らない)。
推奨案:情報テクノロジの分野で進出が遅れているマイノリティ・グループや女性の参加を促進する。
情報テクノロジの分野におけるキャリア追求について、進出の遅れているグループが直面する具体的な障害を中心に、体系立った研究活動を実施する必要がある。研究プログラムでは、大学受験の準備に伴う問題、大学入学時の障害、奨学金制度/入学時の方針、情報テクノロジ学位プログラムの継続、大学院教育の問題、キャリア・アクセス、キャリアアップに伴う障害などについて検討する。また、こうした問題の解決に向けたさまざまなアプローチの効果をテストするための実験プログラムを開発する必要がある。さらに、この種の問題解決に利用できる情報テクノロジ関連のツールがあるのか、またその手法を判断することが重要である。このような研究はほとんどの場合、社会/経済、および労働力の諸問題を中心に、"Expedition Center"や"Enabling Technology Centers"で実施することができる。
こうした研究活動に加え、現在実行されているその他のプログラムから得られるデータに基づいて、情報テクノロジ・コミュニティは、関連分野のキャリア追求を目指す女性やマイノリティ・グループの雇用を拡大する必要がある。すでに民間部門の中には、特にエンジニアリングの分野を中心に、マイノリティ・グループや女性の卒業生を生み出した成功例も見られるようになっている。また高卒者を対象として潜在的に雇用の可能性のある人材を発掘する査定サービスなどを提供する高品質の研究と支援を実施してきた。これは、学生の教育、奨学金制度、指導制度、インターンシップ、専門家育成といった面で特に重要なポイントとなる。またNSF(National Science Foundation:国立科学財団)では、サービスの行き届いていないコミュニティでの教育の改善、科学技術分野へのマイノリティ・グループの参加の促進などを主眼としたさまざまなプログラムを開発してきた。一定の効果を上げているプログラムについては、情報テクノロジの問題を包括できる方向で拡張していく必要がある。公共と民間の財団による支援を通じて実施されている政府主導型のモデル・プログラムも、大幅に拡充する必要がある。
推奨案:研究活動の地理的な場所、規模、民族的背景、教育機関、コミュニティなどの条件によって生じる広帯域幅対応の接続を提供する上で障害となる要素を解消するためのプログラムを策定する。
NSF vBNSの接続認可プログラムといった広帯域幅接続を提供するプログラムは、地理的条件、規模、民族的背景などが原因で生じる問題の解決に向けて、今後も継続、拡大する必要がある。ネットワーク・テストベッドに関連するあらゆる機関が、必要な研究を実施しながら、情報テクノロジの労働力として能力のある学生を送り出していく上で、障害となる要因をすべて取り除く必要がある。現行のNSF Connectionsプログラムに適用されているEPSCoR追加プログラムなど広帯域幅接続をサポートする特別な補助プログラムも、問題解決への重要なアプローチとなる。その他、方針や規制に関する問題点を解決、あるいは緩和する上で、開発・応用すべき研究についても検討する必要がある。さらに、図書館、学校、教会、コミュニティ・センターといった地方の機関を通じて、高度な接続を提供できるように、コミュニティ全体としての努力も支援する。
各州で広帯域幅の接続を確保することが重要となる。Rural Electrification Act(地方電気法)やインターステート・ハイウェイ・プログラムといった国家的な大規模インフラストラクチャ・プログラムと同様に、「インターステート情報スーパーハイウェイ」構想も、国家規模の長期的プロジェクトとして最優先に考える必要がある。ただし、当委員会は、政府がただちに国家的に広帯域幅インフラストラクチャの展開を助成すべきであるとは考えていない。現在のテクノロジを利用しながら、関連する規制の問題を除外して考えても、費用の負担が重過ぎる。代わりに長期的な目標に向けた基本的な第一歩として、本報告書で提案する各種の研究努力を積み重ねることが肝要である。接続コストの低減に向けた研究を続けることにより、広帯域幅の接続が実現されるようになる。
推奨案:K-12、高等教育、生涯教育などを通じてあらゆるレベルにおける情報テクノロジの教育制度を強化・拡大する。
市民が情報化時代に対応した準備を整え、情報テクノロジ関連のスキルが要求される職種やキャリアにも進出しつつ、テクノロジの突然の変化にも対応できる知識を能力を向上できるように、適切な教育とトレーニングが今必要とされている。
情報テクノロジの世界に生きられる人材を育成する一環として、まず情報の収集、他人とのコミュニケーション、日常業務の実施といった作業を行う場合に、コンピュータやWebの使い方を学習しなければならない。また、コンピュータ科学や情報科学に関する教材も、数学や科学といった教科に組み込んで自然な形でK-12カリキュラムを編成する必要がある。情報テクノロジに関する教育をすべてのK-12や大学生に提供するには、十分な能力を備えたコンピュータ科学/情報科学の教育者自身の能力を開発するための効果的なメカニズムを開発して、サービスが不足しているコミュニティでもうまく教えられるようにしなければならない。
生涯教育は、情報テクノロジの専門業務のきわめて重要な部分を占める。急速に変化する実世界の動きに遅れないように、継続的に知識やスキルの向上を図る必要がある。パーソナル・コンピュータやインターネットの技術進化に伴い、学習者は場所や時間を問わず、高度な情報テクノロジ関連のコースとトレーニングを実施できるようになる。情報テクノロジ関連の教育とトレーニングは、高い動機付けのある学習者が手軽に利用できなければならない。
情報テクノロジの教育とトレーニングを実施するには、産官学の三者の協力が重要な要素となる。行政と産業界の協力を促進し、情報テクノロジ関連の教育/トレーニングを強化した一例として、1994年に始まったNSF(National Science Foundation:国立科学財団)のATE(Advanced Technological Education Program:先端テクノロジ教育プログラム)12がある。その他、こうした協力関係のプログラムや奨励制度も開発、および支援する必要がある。
推奨案:教育における情報テクノロジの応用を促進する。
情報テクノロジには、あらゆるレベルで教育の品質と提供範囲を改善するための手段として、多大な期待が寄せられている。さまざまなアイデアが考案され、試されてきたが、こうした期待に応えるには、相当大規模な研究と実験が不可欠になる。同時に、教育の場面で有効であることがわかっている情報テクノロジの側面を、幅広く普及させ、応用していく必要もある。
PCAST(President's Committee of Advisors on Science and Technology:大統領科学技術諮問委員会)では最近、"Report to the President on the Use of Technology To Strengthen K-12 in the United States"(大統領向けの報告書:テクノロジにおるK-12の強化に関する報告)を発表した。この報告書では、現在、最新のテクノロジによって支援されている短期/長期教育アプローチの成果を評価するための研究業務を推進すべく、連邦政府が主導的な役割を演じるべきである点が指摘されている。当委員会でも、この推奨案を強く支持する。
現在、総合大学、市民大学、単科大学、民間の教育機関などで「電子学習」への関心が高まりつつある。にもかかわらず、情報テクノロジ分野の教育/トレーニング担当者の間では、それほど応用が進んでいない。情報テクノロジの応用は、情報テクノロジそのものを扱う人々に向けた教育の場面で特に効果がある。特に、「いつでも、どこでも」というアプローチによって、多数の潜在的な学生(従来までは参加すら難しかった学生)にも、品質の高い教育/トレーニングが提供されるようになる。こうしたアプローチは、情報テクノロジの分野における初歩的な教育の面でも、雇用の継続に情報テクノロジの専門家を育成する上でも、多大な効果がある。
下表の数字は、1999年度の財政支援に追加すべきものである。
社会/経済関連の研究に向けた支援(単位:100万ドル)
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FY 2000 |
FY 2001 |
FY 2002 |
FY 2003 |
FY 2004 |
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| 社会/経済関連の研究 |
30 |
40 |
70 |
70 |
100 |
当委員会では、今後5年の間に最大1億ドルの規模で追加支援を行うことを推奨する。まず初年度は、次のとおり、3,000万ドルを追加する。
3年目の増額分は、"Expedition Center"の支援に充当するものである。