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エグゼクティブ・サマリ

情報テクノロジ(IT)は、21世紀における私たちの生活、教育、仕事、娯楽などのあり方を変える中心的な原動力の1つとなる。コンピュータや通信に関連する技術的な進化は、今後のビジネス、科学技術、社会的な相互関係を支える新しいインフラストラクチャ(情報基盤)を作り出すことになる。このような拡張を続けるインフラがもたらす画期的なツールを利用して、世界各地を相手にコミュニケーションを行ったり、さまざまな情報をもとに必要な知識や洞察を収集したりできるようになる。情報テクノロジは、自然環境に対する影響を理解したり、これを効果的に保護したりしていく上でも役に立つほか、今後の経済成長を支えるための重要な手段ともなる。また、情報テクノロジは、私たちの作業環境の価値を高め、質の高い医療業務を実現するほか、市民の声を反映した、身近な行政を実現する上でも大きな効果がある。

21世紀に向けた米国国家の展望を実現していく上で、情報テクノロジの分野における積極的な研究開発(R&D)活動が必須になる。今日、コンピュータやインターネットといった情報ツールの実現をもたらした技術革新は、連邦政府と産学が一体となって、研究開発の活動を支えてきたことの結果として生まれたものである。こうした革新技術は、基礎研究と応用研究に対して着実な投資を続けてきたことの成果にほかならない。

私たちは今、連邦政府がこれまで続けてきた研究開発への投資から、多大な恩恵を受けている。コンピュータ、半導体、ソフトウェア、通信装置といった製品を生産するビジネスは、1992年以来、今では国内生産全体の1/3を占めるまでに成長しており、数百万ドル規模の新しい雇用機会も提供してきた。現実に政府が支援している大学の研究プログラムでは大学院教育を通じて、現実の世界で活躍する数多くのリーダーや専門技術者を育成してきた。間もなく21世紀を迎えるにあたり、情報テクノロジ関連の技術革新に向けた機会は、従来にない規模にまで成長し、これに伴う重要性も高まるようになっている。私たちは今、情報テクノロジを中心とした新しい構想を継承していくことを国家的な重要課題として認識する必要がある。

当委員会で、連邦政府のプログラムの内容を慎重に検討してみたところ、情報テクノロジに関する連邦政府の支援が、あまりにも不十分であることが明らかになった。情報テクノロジを中心とした斬新な構想の流れを受け継ぎ、次世代の研究開発者を育成することを目的に実施された研究プログラムでは、実際に必要とされる研究業務に充当される部分には限りがあり、これまでにも、多数の優れた提案が却下されてきた。またこうした問題をさらに複雑にしている点として、連邦政府当局の管理者が資金不足という問題に直面しており、現状ではとても研究活動のニーズには対応できないことに加え、リスクの高い長期的な研究開発への投資よりも、即効性のある短期的な活動が優先されるという実態がある。こうした傾向は、個々の所轄当局にとっては当然の判断とも思われるが、この種の意思決定ばかりが重なってくると、国家全体としての長期的な利益を脅かすことになりかねない。

国家は今、コンピューティング/通信システムに向けた新しい大規模な研究開発を強化する必要に迫られている。こうした研究開発を推進していく結果、情報テクノロジにおける経済発展をはじめ、教育や危機管理といった重要な社会問題への対策といった面でも大きな貢献をもたらすことに加え、運輸、防衛、ビジネス、金融、医学などの分野を支えるインフラストラクチャを一段と強化する複雑なシステムを、致命的な障害から保護できるようになる。また、こうした研究開発の成果が、必要に応じて実用化されることを想定して、現在、大学や民間の研究機関に導入されているコンピューティング・インフラストラクチャが急速に陳腐化が進みつつある状況を阻止して、施設の活性化に着手する必要がある。こうした対策を今、取っておかないと、これまで過去数十年にわたって情報革命の原動力となってきた画期的な構想の流れが失われる結果になる。

こうした問題の対策として、当委員会では1998年8月に中間報告をまとめた。この中間報告では、2004会計年度までに年間数十億ドル規模で情報テクノロジの研究開発を助成すべきであるという点を指摘した。以降、当委員会では、この中間報告に提案した調査結果と推奨案に関して、各方面からの助言やコメントをいただくと同時に、推奨案をさらに詳しく検証するための調査委員会も設置した。こうした業務の成果として、当委員会の報告書で指摘した問題の解決に向けた研究プログラムやその他の活動に必要な費用について詳しいモデルを作成することができた。この結果、当委員会では中間報告で提示した調査結果と推奨案をさらに洗練化してきた。今回、当委員会では連邦政府が、2000_2004年度の5か年間に、情報テクノロジを中心とした研究開発への年間財政支援を拡大することを推奨する。具体的な案は次のとおりである。

 

情報テクノロジ関連の研究開発に対する財務支援強化の推奨案(単位:100万ドル)

分野

FY 2000

FY 2001

FY 2002

FY 2003

FY 2004

ソフトウェア

112

268

376

472

540

スケーラブル情報

インフラストラクチャ

60

120

180

240

300

ハイエンド・コンピューティング
の調査

180

205

240

270

300

ハイエンド・コンピューティング
の調達

90

100

110

120

130

社会/経済

30

40

70

90

100

合計

472

733

976

1192

1370

以上の上方修正は、1999会計年度にすでに編成されているプログラムに追加するものである。今回の最終報告では、提案の実施に伴う手法の検討も含め、こうした予算推奨案について詳しく考察してある。

研究開発の活動全般にわたってニーズへの対策不足という問題がある一方で、長期的なハイリスクの研究を中心とした財政支援の強化を優先的に検討する必要がある。研究活動の規模の拡大に加え、連邦政府は、各研究機関が先進プロジェクトを推進する上で不可欠となる最先端の施設を完備できるように、十分支援しなければならない。最後に、連邦政府の予算を引き続き拡大することにより、情報テクノロジにおける技術革新が全米国民にとって利益となることに加え、情報テクノロジに依存する世界で市民に繁栄をもたらすべく、適切な教育とトレーニングを提供できるような体制を確立しなければならない。

当委員会で提案する連邦政府の研究プログラムがそれなりの成果を上げるには、プログラムの効果的な管理が不可欠になる。現在、各局間に置かれている調整機構も、相当な効果を上げてはいるが、同時に、主な職掌範囲があいまいにならないように、責任の範囲を明確な定義する必要がある。これまでに、長期的なハイリスクの研究開発の推進を、当該の局内で生じる圧力から守るといった重要な役割を果たす部局が設置されたという前例はない。理想的には、21世紀に向けた情報テクノロジに関する基礎研究プログラムの編成を管轄する部局を組織すべきであろう。

現政権は、"Information Technology for the Twenty-First Century(IT2"(「21世紀に向けた情報テクノロジ」)と銘打った構想に基づいて、2000年度の政府予算を提案した。こうした取り組みはまず、連邦政府が予算を拡充して、革新技術を中心とした研究活動を促進する目的で新しい管理システムを開発していく上での重要な第一歩となる。しかし、必要な活動はこれだけにとどまらない。長期的な研究開発に向けた投資不足という問題に対応すべく、詳しい検討を重ねていくことが重要な課題となる。

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