ICOT TODAY Issue #9
October 28, 1994
[目次]
良い季節になりました。
空気も澄んで、三田国際ビル 21Fの窓から見える朝夕の景色は実に幻想的です。
今日の夕景も見事でした。まず、雲間からオーロラのような光の緞帳が降ろさ
れ、用意された舞台に、雲の下からオレンジ色の太陽がゆっくりと現れました。
それは、線香花火の先っぽみたいに今にも落ちそうでいて落ちないで、まばゆ
いばかりの光を放ちながら沈んでゆきました。少しの間、目を離して、もう一
度鮮やかな夕焼けを見たいと思った時にはもうすっかり夜のとばりが降りてい
ました。
暗くなるのが早くなったなぁ、と思ったら、10/27の日の入りは午後 4:52。気
温は 15度を割りました。
皆様、風邪などおひきになりませんように。
さて、前号でもお伝えしました通り、ICOTでは、第五世代コンピュータ・プロ
ジェクトの後を受けて実施している後継プロジェクト 2年間の研究開発成果を
発表するため、来たる 12月13日〜16日の 4日間、「第五世代コンピュータ国
際シンポジウム 1994(FGCS'94)」を開催致します。会期まであと 1ヶ月半を
きり、現在、その準備を着々と進めているところです。
この ICOT Todayでは、FGCS'94の最終プログラムと共に、各発表者から入手し
た「今回の発表のどこが新しいか!」「どんな点を是非聞いていただきたいか!」
という、おすすめのポイントを皆様にご紹介します。
また、後半 2日間のワークショップでは fj等のニュースで論文を募集してお
り、既に査読にはいっているところもあるようです。研究テーマごとに的を絞っ
た討論を行う 6分野のワークショップも、とても魅力的な内容となっておりま
す。こちらにも是非、ご参加下さい。
プログラムをご一読の上、よし、参加してみよう! と思われた方は、本文記事
の最後にある申込書に必要事項をご記入の上、今すぐ!! お申し込み下さい。
ICOT関係者はゆったりのんびりしたかたが多いのか :-) OBの方等からも、ま
だあまりお申し込みいただいておりません。参加証発送などの事務処理の都合
上、恐縮ですが、
11月 28日(月)
までにお申し込み下さるようお願い致します。(といっても、期限を過ぎたか
らダメ! などと冷たくしたりしませんが..... :-))
FGCS'94の会場で皆様にお会いできるのを、心より楽しみにしております!!
浪越徳子
それでは、ICOT Today 第 9号、最近の ICOT関連ニュースの Headlineからお
伝えします。
昨年 12月の東京での講習会に始まり、遠くオレゴン大学、北陸、東北、名古
屋と巡業 ? を続け、各地で好評を得てきた出張 KLIC講習会。今回は 9/26,
27の2日間、神戸大学で開催致しました。
これまでの講習会は学生の参加者が多かったのに比べると、今回の 30名の参
加者にはメーカの方々もかなりいらして、バラエティに富んだ受講者に恵まれ、
活気のある講習会になったようです。
次回開催地は未定ですが、皆様のリクエストになるべくお答え出来るように、
プロジェクトが終了する 3月までの間に、もう少し頑張りたいと思っています。
(記事なし)
前書きにも書きましたが、この ICOT Todayでは、「第五世代コンピュータ国
際シンポジウム 1994(FGCS'94)」の最終プログラムをご紹介します。
この記事には申込書が付いていますので、是非、お早めのお申し込みをお願い
致します。ワークショップへの参加を予定されている方も、全体会議に参加登
録をお願いしますネ。(記事 No.9-1)
10/14に、WWWで ICOTの home pageを公開致しました。ICOTの概要や最新情報、
また、出版物やフリーソフト、FGCS'94をはじめとするイベントについてなど、
各種情報満載で、皆様にお楽しみいただけると思います。ICOT Todayのバック
ナンバーも揃っていますし、ICOTの有名人たち:-) の顔写真も見られます。
http://www.icot.or.jp にアクセスすれば、もうそこは ICOT ...... ?!?!
必要な情報を得たい方、ICOTフリーソフトを入手したい方、ICOTの研究を担っ
ている人たちが一体どんな顔をして写真におさまっているか見たい方、ちょっ
と暇な方...等々、とにかく一度アクセスしてみて下さいね。 (記事 なし)
IFS新規公開予定ソフトとして、KLIC第二版(逐次・並列の両実装)を含む17
本が決定しました。現在、審査待ちの状況です。審査を通過した後、実際には
12月以降順次公開となる予定です。新規公開ソフトの詳細については、IFS
Newsletter No.9 で皆様にお知らせ致します。
このように、ICOTでは IFS Newsletterで ICOT Free Softwareに関する情報を
皆様に提供しています。Newsletterをお読みになりたい方は、ifs@icot.or.jp
までお知らせ下さるか、www の ICOT pageにアクセスしてみて下さい。(記事なし)
International Symposium on
Fifth Generation Computer Systems 1994
(FGCS '94)
1994年12月13日(火) 〜 16日(金)
FGCS'94の最終プログラムが決定致しましたので、お知らせ致します。
お申し込みをお待ちしております!! (申込書は最後に付いています。)
[目次]
成果報告会 -12月13日(火)-
<時間> <講演タイトル> <発表者>
10:00-10:10 開会挨拶 専務理事 廣重博一
10:10-10:30 来賓挨拶 通商産業省 機械情報産業局長
10:30-11:10 基調講演 東京大学 教授 渕 一博
11:10-12:00 研究開発総合報告 研究所長 内田俊一
12:00-13:30 昼食
13:30-14:20 並列基本ソフトウェア 第一研究部長 近山 隆
五世代プロジェクトの並列推論システムは、専用ハードウェア上に構築されて
いるため、高性能ではあったが広範な利用が難しかった。基盤化プロジェクト
ではこの並列ソフトウェア環境を Unixをベースとする汎用計算機システム上
に再構築した。そのベースとなる KLIC処理系、KLIC上の並列データベース
システム Kappa-Pなどの研究開発について概要を報告する。
14:20-15:10 知識処理ソフトウェア 第二研究部長 新田克己
第2研究部が2年間に行った、知識表現言語 (Quixote, GDCC, Helios)と、
知識応用システム(遺伝子解析、法的推論)の研究の成果を紹介する。
これらの研究の背景や経緯や研究テーマの相互の関係をわかりやすく説明する
ので、ICOTの知識情報処理研究全体のアウトラインを把握していただけるもの
と考える。
15:10-15:30 コーヒーブレイク
15:30-16:15 データベースから知識ベースへ 主席研究員 横田一正
--- Kappa, Quixote, Helios
知識情報処理の応用のためのデータベース・システム/知識ベース・システム
として、Kappa, Quixote, Heliosという3つのシステムを研究開発してきたが、
これらの経験を踏まえて、これからのデータベース/知識ベース・システムの
ために、その枠組や要件を議論する。
16:15-17:30 並列定理証明システム 研究担当次長 長谷川隆三
論理プログラミングと自動推論技術の融合を目指して、KL1をベースにモデル
生成型の1階述語論理並列定理証明系MGTPの開発を進めてきた。MGTPは並列推論
マシンPIM/m-256PE上で200倍以上の台数効果を達成しており、これを用いて有限
準群に関する未解決問題を解くことにも成功している。MGTP開発の経緯、主要な
効率改善技術、最近のトピックスなどについて、実演を交えながら紹介する。
18:00-20:00 歓迎レセプション 於 マツヤ・サロン
成果報告会 -12月14日(水)-
<時間> <講演タイトル> <発表者>
9:00- 9:40 汎用機上の KL1処理系 KLIC 第一研究部部長代理 藤瀬哲朗
KLIC は並列論理型プログラミング言語 KL1 の言語処理系であり、Unix を
ベースとする汎用計算機システム上で動作する。KLIC の並列実装は、単独で
逐次実行可能なKLIC 逐次核を 1 つの処理ノードとし、複数個の KLIC
逐次核を Generic Object 機能をベースとして結合することで実現される。
本発表ではこの並列版 KLIC 処理系について報告する。
9:40-10:10 並列推論マシン PIMの評価 第一研究部長代理 久門耕一
ICOTでは並列論理型言語KL1を高速に実行するための複数の並列推論マシン
PIMを開発した。PIMはKL1を効率良く実行するためにタグサポート命令や
専用通信路を持っている。プロセッサ間通信は共有メモリや専用ネットワーク
を通じて行なわれる。ここでは、これらPIM間の比較、更に通常のUNIXワーク
ステーション用として開発されたKLICとの間の比較を行なう。
10:10-10:40 分散プール機能とその実装 第一研究部 佐藤正樹
現在 KL1 のユーティリティとして提供しているメモリベースの簡易データ
ベースであるプールは、分散環境では、データを集中管理しているため有効に
機能していない。そこで、ソフトウェアキャッシュを用い、データを効率良く
分散管理する分散プールを開発したのでここに報告する。これによりユーザは
データの一貫性を気にせずに柔軟に負荷を分散することができ、又、効率の
良いメモリ消費が可能となる。
10:40-11:00 コーヒーブレイク
11:00-11:40 並列 DBMS Kappa 第一研究部 河村元夫
Kappaは、KLICで記述された並列データベース管理システムであり、知識
情報処理や遺伝子情報処理などの複雑な構造データを効率的に処理することが
でき、かつ、データベース設計、問合せ記述は容易である。さらに、並列
データベース管理システムであるため、並列処理により問合せ処理時間の短縮
が可能である。
11:40-12:20 知識表現言語 Quixote 第二研究部 津田 宏
知識表現言語、もしくは演繹オブジェクト指向データベース言語、制約プログ
ラム言語、として長らく研究を続けてきた Quixoteだが、今回は最新の KLIC
版によるデモを交えた発表を行う。従来 Quixoteで記述できなかった、非等式
制約 (「...の性質は...でない」)とか、数値モジュールによる数値演算が
新機能として加わり知識表現の幅が広がった。
12:20-13:40 昼食
13:40-14:20 異種分散協調問題解決システム Helios 第二研究部長代理 相場亮
既存のデータベース、制約評価系などの異種の問題解決器を組み合わせて、
大きな問題を解くことができたら、というアイディアから生まれたのが
Heliosである。Heliosでは、異種の問題解決器をエージェント化し、マルチ・
エージェントの枠組で組み合わせることができる。その際に Heliosが
提供するものとしては構文等の変換系と、カプセル化、メッセージ交換の
プロトコル等がある。
14:20-15:00 遺伝子情報処理への並列応用 第二研究部長代理 石川幹人
遺伝子やタンパク質の配列解析を行うシステムを中心に、いくつかの応用シス
テムを紹介する。代表的なシステムは、マルチ個体群方式の遺伝的アルゴリズ
ムを応用したアライメントシステムであり、PIM/m上での実行をデモンストレー
ションする。また、ワークステーション上で、汎用並列計算機を利用しながら
動く、配列解析のワークベンチを紹介する。これらのソフトウェアは、無償公
開されている。
15:00-15:40 法的推論システム new Helic-II 第二研究部 坂田 毅
new HELIC-IIは、価値判断、論証生成、論争支援という3つの推論要素を持つ
法的推論システムである。刑法の事例問題が、どのような価値判断からどの
ような解釈が選ばれ、どのように法廷で論争がなされるかを、実例を用いて
シミュレートしながら、システムの機能を紹介する。このシステムは free
softなので、法的推論の仕組みを自分で勉強するのに利用することができる。
15:40-16:00 コーヒーブレイク
16:00-17:30 パネル討論「並列記号計算の性能モデル」 座長 第一研究部長 近山 隆
逐次処理ではランダムアクセスメモリと加減乗除などの一定の手間の操作の
セットがアルゴリズムの設計と評価の基準となり、これにワーキングセットと
いう概念を加えたものが、実際に効率的なソフトウェアの設計に役立ってきた。
同期や通信が重要となる大規模な並列記号処理についての、これに対応する
実用的な性能評価モデルの構築について議論する。
17:30-17:40 閉会挨拶 専務理事 廣重 博一
ワークショップ -12月15日(木),12月16日-
6つのワークショップがパラレルに行われます。
(各ワークショップの内容については [開催要項]
場 所: シェーンバッハ・サボー(砂防会館別館)
〒102 東京都千代田区平河町 2-7-5
電話: 03-3261-8386
期 日: 平成6年12月13日(火) 〜16日(金)
参加予定人数: 500名
会議公用語: 12月13日、14日: 日本語、英語(同時通訳あり)
12月15日、16日: 英語
参 加 費: ICOT賛助会員: 無料
一般: 5,000円
学生: 1,000円
(いずれも予稿集代含)
社交行事: 歓迎レセプション 12月13日(火) 18:00 〜 20:00
マツヤサロン
〒102 東京都千代田区平河町 2-7-9 全共連ビル 6階
電話: 03-3265-3301
主 催: (財)新世代コンピュータ技術開発機構
後 援: 通商産業省
下記の申込書に必要事項をご記入の上、電子メールまたはFaxにて
(財) 新世代コンピュータ技術開発機構 調査国際部
電子メール: fgcs94@icot.or.jp Fax : 03-3456-3158 電話: 03-3456-3195
までお送りください。
申 込 書
平成6年 月 日
以下のセッションに参加する予定です。(該当する[ ]にXを付けて下さい。)
[ ] 成果報告会 — 12/13, 14
ワークショップ(複数選択可) — 12/15, 16
[ ] W1) 並列論理型プログラミング
[ ] W2) 自動定理証明
[ ] W3) 異種協調知識ベース
[ ] W4) 分子生物科学と知識情報工学のフュージョン
[ ] W5) 論理プログラミングの法的推論への応用
[ ] W6) 並列/分散処理によるLSI-CAD
[ ] 歓迎レセプション(無料) — 12/13
お名前[日本語]: 所属・役職:
[英 語]:
会社(大学、研究所名)[日本語]:
[英 語]:
所在地(連絡先):
電話: Fax: 電子メールアドレス:
ICOT Today 第9号、いかがでしたか ?
ICOT Todayをお読みいただいたご感想、また、今後はこんな記事を読みたい !
等の皆さまの声を、是非聞きたいと思っております。 irpr@icot.or.jp 宛に
電子メールにてご意見をお寄せ下さい。お待ちしております。
次号は、以下のような内容を予定しています。
- FGCS'94 最終案内
- 知識表現言語 Quixote入門
ご期待下さい。
ICOT TODAY Issue #9
編集・配布 海外渉外広報担当グループ( IR&PR-G )
内田俊一 相場 亮 成田一夫 兼子利夫 浪越徳子
仲瀬明彦 白井康之 田中秀俊 坂田 毅
発行 1994年 8月
財団法人 新世代コンピュータ技術開発機構
東京都港区三田 1-4-28 三田国際ビル 21F
電話: 03-3456-3195 FAX: 03-3456-3158
e-mail: irpr@icot.or.jp
www-admin@icot.or.jp