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2.6 環境モニタリング

 環境モニタリングは、環境変化の理解と予測、そして、今日直面している環境問題に対応するために必須のものである。ちょうど、金融指標、労働指標、あるいは、他の経済状態の指標を監視するように、環境に関する指標を監視し、環境の状態を判断する必要がある。NIIは、環境観測、解析、情報の普及過程の支援において、断片的なインフラストラクチャを連結し、複数の分野にまたがった広い視点から見ることのできる包括的な環境モニタリング遂行能力をもたらすために重要となる。

2.6.1 概要

 National Challenges の環境モニタリングでは、観測システム、計算機センター、記録保管所、図書館、情報普及システムの全米統合ネットワークを開発する。このようなインフラストラクチャは、環境モニタリングおよび保護活動における国家投資のうえに構築されることによって、多様な観測データと情報の統合的管理者として役立つ。また、リアルタイムで継続的な観測データ、オンラインデータベース、そして高度な計算能力を容易にそしてタイムリーにアクセスできるため、環境と経済にとって重大で長期的な損害を回避することができる。

 環境モニタリングからみたNIIは、統合化の要素であるとともにそれを促進するものである。すなわち、利用者が地理的に分散している多くの異種データベースで作業できるように、輸送機構とデータ変換サービスを提供するものである。

2.6.2 開発状況と到達目標

 HPCCプログラムでは、環境モニタリングの分野で、NASA、NOAA、EPAの各機関が取り組んでいる。大規模広範囲の環境情報のデジタル・ライブラリが構築され、これらの蔵書を有効に使用できるようにするための道具が開発される計画である。この中には、衛星画像や広範囲にわたる地球科学データベースの公開、地球観測パイロット情報システム、環境情報への要求を満たす教育訓練プログラムが含まれる。以下、IITA関連の活動について現況を述べる。

(1)EPAのデータ公開

 EPAは、知的な対話的操作インターフェース、検索および解析技法、経験のないユーザのためのオンラインマルチメディアチュートリアルの開発を行ない、生態観測、大気や水質モデルに基づく予測、汚染物質の集団暴露などの色々な環境データベースを公開することを計画している。また、1996年度予算要求では、このテーマに102万ドル要求されている。

 現在EPAでは、NASA、NOAAと共同で、州、連邦、産業界の各組織で利用する環境アプリケーションと政策方針決定支援を行なう高度なツールの開発に注力している。

 環境基準の制定を行うコストを下げ、HPCC技術の市場を増やすことで、産業に経済的恩恵をもたらす環境政策決定が、効率的でかつ科学的、そしてタイムリーにできるようにする。高性能環境評価ツールを容易に技術移転できるように、計画では、一連のパイロットプロジェクトを行っている。これらのプロジェクトは、環境科学者、アナリスト、政策決定者のニーズを評価するとともに、支援カリキュラム、訓練用資料、ツールの開発を行なう。

 このような環境評価ツール開発の最初のステップとして、UAMGUIDES(Urban Airshed Model with Graphical User Interface and DEcision Support)とEDSS(Environmental Decision Support System)が開発された。これらは、MCNCが開発し、州の環境グループに提供したもので、都市および地方の大気評価および評価モデルの改良を支援する。

 次のステップでは、現在計算能力不足で実行できない複雑な複合汚染の評価とクロスメディア環境問題を扱うことのできる次世代大気評価モデリングシステム(Air Quality Modeling System Models-3)を開発する。このシステムでは、クロスメディア環境評価に求められる規模と分解能の問題を解決するのに必要な計算機資源の増加のためにスケーラブルな並列計算機を必要とする。

 研究では、次のようなことに関係する基本的な技術上の問題に取り組む。それは、空間、時間、マルチメディアデータの支援、知的データアクセス技法、オブジェクトデータベース、異種のハードウェア、ソフトウェアプラットフォーム間の相互操作性、地球科学情報に対する一般大衆のニーズを満たす公的な利用および教育用の情報の作成である。

 また、1996年度、EPAは環境データに関連する対話型操作、検索、解析、ヘルプ機能の知的インターフェースとデータ管理、解析方法における研究に対して助成金を交付する。

(2)NOAAの情報普及パイロット

 インターネット、NIIのネットワークの利用により、NOAAのもつ莫大な実時間および経歴情報をすべての利用者に対して、さらに完全で便利な形で、タイムリーな方法で提供可能にする計画である。1996年度予算要求では、このテーマに50万ドル要求されている。

 NOAAのもつ膨大な量の環境データおよび情報のうちのいくらかを、インターネットをとおして先行公開を開始する。NOAAのPMEL(太平洋環境研究所)では、沿岸および公海上における環境モニタリングに注力しており、一日から一旬の時間的規模で海洋の移り変わりの予測を支援する。現在、エルニーニョ現象の理解と予測を目的として、太平洋の熱帯域がモニタされている。現在進行中の国際的な研究は、エルニーニョ現象が天候と水揚げに影響するメカニズムを理解することを目標としている。このメカニズムが明らかになることで、モニタリングプログラムにより予報者が広い領域の数カ月の天気を予測することができ、太平洋漁業の漁獲高に経済的な影響が期待できる。PMELは、太平洋の熱帯域の海温計測結果についてほぼリアルタイムで、グラフィック表示をインターネット上(注16) に公開している。

 環境情報は、NIIの一部として、民間団体、研究者、教育者、一般大衆が利用できるように、各地域のNOAAデータセンターに地理的に分散して置かれることになる。

 1996年度は、インターネットの高度データアクセスツールを使用し、NOAAの種々の環境データの一部を公開するデータ普及パイロットを開発する。

(注16) 詳細については、http://www.pmel.noaa.gov/toga-tao/el-nino-story.htmlを参照のこと。

(3)NASAの情報インフラストラクチャ技術

 インターネットを利用して地球および宇宙科学に関するデータを公開する。1996年度予算要求では、このテーマに880万ドル要求されている。

 1994年度、このデータ公開を支援するテジタル・ライブラリ技術の研究に対して、ライス大学とウィスコンシン大学に助成金が交付された。

 1996年度、NASAは、リモートセンシングアプリケーションを支援するのに必要なデジタル・ライブラリ技術の追加部分を決定し、リモートセンシングデータアプリケーションの公的使用に対し助成金を交付する。

(4)NASAの情報インフラストラクチャアプリケーション

 インターネット上にリモートセンシング画像のデータベースへのアクセスと支援ソフトウェアを開発、提供する。NASAは、HPCCプログラムを土台に航空宇宙科学技術研究、および、数学、科学、工学教育を支援するNIIの開発を容易化し、現在の教育を向上させるインフラストラクチャを構築する計画である。1996年度予算要求では、このテーマに1800万ドル要求されている。

 1994年度、インターネットによる地球および宇宙科学に関するデータの公開を支援するアプリケーションに対して、ミネソタ大学、ノースダコタ大学、ハワイ大学に助成金が交付された。

 1996年度、NASAは、リモートセンシングアプリケーションを支援するのに必要なデジタル・ライブラリ技術の追加部分を決定し、リモートセンシングデータアプリケーションの公的使用に対し助成金を交付する。

2.6.3 その他の計画

 HPCCプログラムではないが、環境モニタリングに関連するその他の主要な計画としては次のものがある。

Earth Observing System(EOS)(注17)
Environmental Monitoring and Assessment Program(EMAP)(注18)
Global Change Data and Information System(GCDIS)(注19)

(注17) 詳細については、http://gcmd.gsfc.nasa.gov/gcmdeos.htmlを参照のこと。
(注18) 詳細については、http://earth1.epa.gov/emap/を参照のこと。
(注19) 詳細については、http://www.gcdis.usgcrp.gov/を参照のこと。

 以下、これらについて述べる。

(1)EOS

 NASAのMission to Planet Earthプログラムの基礎となるもので、Global Change Research Program(GCRP)に不可欠な部分である。

 大域的な気候の変化を研究するために設計された器具を運ぶ宇宙船で、1998年初頭から稼働し始める予定である。

 EOSDISは、地球科学観測データを管理するシステムで、データの解釈とモデリング、EOSデータの処理、配付、保管、および、EOS観測所に対する指令と制御など、EOSの研究活動を支援する計算能力とネットワーク機能を提供する。カリフォルニア大学バークレー校では、「End-to-End Problem in EOSDIS」プロジェクトで、シームレスなデータ分散を支援する次世代分散データベース管理システムを研究している。

(2)EMAP

 国土の生態資源の状態をモニタおよび評価し、それによって、環境保護管理の意思決定に寄与することを目的とする。これを達成するために、4つの目標を掲げている。

  • 地域ベースで、国土生態資源の選択指標の現在の状態、方向、変化を評価する
  • 国土生態資源の地理的な分布を評価する
  • 自然および人為的なストレスの選択指標と生態資源の状態の指標との関連を探す
  • 国土生態資源の統計年報および定期的な評価を提供する
  • (3)GCDIS

     数十億ドルの連邦プログラム Global Change Research Program(GCRP)の一 部。

     研究者、研究者、政策決定者、教育者などが、global changeデータ、情報をできるだけ簡単にアクセスできるように、適切な水準の通信技術、相互操作性、接続性を提供するものである。

     GCDISは、global changeの研究に関係する個々の政府機関で運用される分散情報システムの集合体で、それに横断的な新しいインフラストラクチャが追加されたものになっている。共通の標準、アプローチ、技術の共有などで相互操作性を獲得する。

     現在行われている計画には、次のものがある。

  • ネットワークの相互接続、省庁にまたがるデータのゲートウェイ、データ交換用共通標準の採用、関係省庁間の情報普及の手続きと方策の制定の開発。
  • ネットワーク、および、データの収集と配布を支援するデータ処理センターの実現。
  • 2.6.4 今後の技術課題

     次のような技術課題がある。

    (1)相互操作性

     いろいろな観測データ、さまざまなデータタイプ、広範囲にわたるデータサイズがある。環境データをさまざまな観測システムから情報製品に統合化したり、ユーザに配布できるように、データフォーマットと電子情報交換プロトコルを共通化する必要がある。

    (2)情報セキュリティと信頼性

     環境情報におけるユーザの機密を保持するために、データの完全性と信頼性を保つ手段を講じる必要がある。統一的な品質標準を採用し、実施する必要がある。

    (3)大規模データへの対応

     ユーザが要求したときに環境モニタに必要なデータが利用可能なように優先度付けされた転送手段を提供する必要がある。バンド幅と優先度付け機能は、生命と財産を守るために、とくにリアルタイム環境データ収集に重要である。また、バースト的データ転送への対応も必要である。

    2.7 教育と生涯学習

     教育と生涯学習に対するNational Challengesでは、あらゆる年齢の人々や様々な能力を持つ人々を対象とした教育、訓練、学習システム実現のために、HPCC技術を利用する。その目指すところは、以下のとおり。

     (1)遠隔教育

    地理的に離れた地域にいる学生を、最良の方法で教育すること。

     (2)教師研修

    あらゆる教育レベルに対し、教師が利用できるリソースを増強すること。

     (3)情報入手

    学生は、図書館に出かけずに、情報やリソースにアクセスできること。

     (4)生涯学習

    年齢や地域に関係なく、人々に教育の機会を与えること。

     (5)デジタル・ライブラリ

    学生でも教授でも、それぞれのレベルに合った情報をネットワーク経由で入手できること。

    2.7.1 HPCC技術による変革

     HPCC技術は、教育、研究、訓練、生涯学習にも様々な変革をもたらす。この例として、次のようなものが挙げられている。

     (1)教育

     小学校の生徒は、外国のことやその国の文化、出来事について、授業よりも多くのことを学び、世界中のペンフレンドと交信できる。地理的に離れた複数のハイスクールの学生は、数学、科学、通信について学び、共同作業することもできる。ある学生は、遠く離れた美術館や教育施設にネットワーク経由で訪問する。学生は、インタラクティブなマルチメディアの百科事典や他の学習ツールで、無数の情報の中から自分に合った情報を探し出せる。

     (2)研究

     学術研究は、ますます早いペースで変化していく。離れた場所から装置の共同使用や科学上の問題について共同作業を行ってきた1990年代における科学者の共同研究体制は、様々な地域の研究者や団体を加えて、ここ数年の間にますます複雑化する。地理的に離れた場所にいる研究員は、実験結果を共有し、チーム研究プロジェクトに参加し、学生指導までも共同で行うことができる。一団体で研究するには費用がかかり過ぎるプロジェクトは、共同研究の有力候補となる。

     (3)訓練

     シミュレーションによる教育と訓練は、OJTにますます多く使われるようになる。例えば、パイロットの訓練には、長い間フライトシミュレータが使われてきた。航空分野では、今日ではシミュレーションは別のところでも使われていて、まだ組み立て中の飛行機の整備や修理を、整備士がシミュレーションで学ぶ。整備士は、飛行機が完成するまでには、自信をもって能率的に整備や修理をできるようになる。

     (4)生涯学習

    会社に勤めている人は、勤務外の時間にインターネットを使って、会社に居ながら大学の講義を受けることができる。講義を聞いたり見たりするだけではなく、質問をすることもできる。質問は教授に送られ、後で回答を受け取る。講義に出席できない場合は、コンピュータが講義内容を記憶しておき、後でそれを見ることができる。

    2.7.2 活動内容

     教育に対するネットワークインフラのプログラムは、1994年度にNSFが開始した。教育プログラムは、HPCCに関係する政府機関のほとんどが実施している。その中から、NSFとNASAの活動内容について取り上げる。

    2.7.2.1 NSFの活動内容

  • 学生がMOSIS(Metal Oxide Semiconductor Implementation Service)によりVLSIを製作する場合、ARPAとジョイントして資金を供与
  • ハイスクールの学生と教師に研究を体験してもらう探求プログラムの実施
  • 教育ネットワークのパイロット・プロジェクトの実施
  • デジタル・ライブラリの教育への応用に対するパイロットモデルと大規模モデルの開発
  • インターネットを利用したメリーランド州でのバーチャル・ハイスクールの試行
  • 2.7.2.2 NASAの活動内容

     NASAはK−12(Kindergarten to Twelve)プログラムを推進している。NASAは、インターネットを利用した教育に関し、教師の研修から技術サポートまでを含め、幅広く活動している。K−12の目標として、以下が挙げられている。

  • 教育界に広められる技術やアプリケーションの開発
  • インターネットによる高度な技術キャリア取得の示唆
  • 教育プロセスへのネットワークとコンピュータの統合
  • 教師と学生が関心をもつNASAの情報に関するインターネットベースのカリキュラムの開発
  • 初等教育に的を絞った企画の開発
  • NASA K−12の活動内容は、次のとおり。

     (1)教室とNASAをオンライン接続

     NASAのインタラクティブ・オンライン・プロジェクト。教室とNASAをオンライン接続し、進行中の作業や人工衛星から受信した映像を、生中継を含めて紹介する。NASAの専門家のレポートや彼らの研究のバックグランド情報も提供する。

     (2)インターネットに関する教育ビデオの作成

     インターネットが学校教育にとってすばらしいリソースであることを伝えるビデオ、インターネットへの接続を検討している学校のためのガイダンス・ビデオなどを作成。これらのビデオは、無料でコピーできる。

     (3)学校への技術支援

     以下の3つで構成される。
  • 複数の学校をインターネットにより接続
  • WWWについて教師を教育し、また、教師にWWWを使った教育方法を指導
  • 教室とNASAの専門家をオンラインで接続
  •  (4)教師に対する地球科学教育、コンピュータとインターネットの教育

     メリーランドの24の学区から選ばれた教師が、4週間の夏季講習プログラムを受講する。教師にはパソコン、電話回線、インターネットのアカウントが与えられる。

     (5)地球システム科学コースECOlogicaの開設と普及

     ECOlogicaにより、NASAのデータやコンピュータ用リソースがハイスクールレベルのカリキュラムに取り込まれる。学生は地球システムのある面に焦点をあて、科学ツールや、化学、数学、物理学の知識、モデリング、データ視覚化、シミュレーションの技術、電子出版物等を用いて勉強する。

     (6)遠隔地の天体望遠鏡を使った教育

     学生はパソコンと電話回線を使って、南カリフォルニアのウィルソン山にある24インチ天体望遠鏡にアクセスできる。学生は天文学と天体物理学の分野で発見の機会を与えられるだけでなく、関連する様々な知識を得ることができる。

     (7)Internet Library Information Assembly
        Database(ILIAD)システムの開発と保守

     knowbot(knowledge robot)によるサービスで、インターネット情報に対する教師からの問合せとその回答を、単純で費用がかからない電子メールベースで実現する。

     (8)ローコストでLANをインターネット接続するための開発

     一本の普通の電話線を介して、80台以上のコンピュータを接続したLANをインターネットに接続する。このLANを通して、電子メール、gopher、FTP、WWWを使うことができる。

     (9)教師によるコンピュータ教室の運営を支援する
        コンピュータラボの開設

     このラボは、インターネットに接続された7台の教育用ワークステーションと一台の指導員用ワークステーション、オーバヘッドプロジェクタや他の教育機器を備える。

     (10)広帯域、ローコストを目指したRF帯無線による
        インターネット接続の実現

     パイロットとして、3学校と2インターネット・ポイント間で試行中。ISDNも、学校がインターネットに接続する際のオプションとして、調査対象となっている。

    2.7.3 技術上の課題

     インターネットを利用した教育は、参加する学校の数も増え、着実に成果をあげている。しかし、教えることと学ぶことの道具として、教師も学生もコンピュータやインターネットの使い方を知っていることが必要である。現状では、インターネットで提供されるリソースの多くは知識ある人によって作成され、自分の思うようにインターネットを使いこなすには、たくさんのことを覚えなければならない。そのため、米国では教師の研修とともに、小さいうちからコンピュータやインターネットに慣れるよう、教育環境を整えてきている。ただし、人によって使いこなす能力に差があるのは当然であり、アプリケーションに応じてその都度操作を覚えるのも負担になる。このことから、今後もインターネットを利用した教育を推進するためには、誰にでも簡単に使えるユーザインターフェースを提供することが、必要であろう。

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