平成6年7月1日 第8号
今回,汎用機上の並列論理型言語処理系 KLIC に新版が登場しました.これ まで,KLIC処理系をインストールするには,SICStus PrologかQuintus Prolog が必要でしたが,今回,それらのPrologがいらなくなりました.これで,ICOT 無償公開ソフトウェアから,KLIC処理系を入手されるだけで,KLICをインストー ルすることができるようになりました. また,ICOT無償公開ソフトウェアの最新の公開状況をお知らせします.
並列論理型言語 KL1 の Unix ベース計算機用のシステム KLIC の新版
1.410 を ICOT Free Software としてリリースしました.
ファイル名は,
/ifs/symbolic-proc/unix/klic/klic-1.410.tgz
です.anonymous-FTP で ftp.icot.or.jp に 接続し,バイナリモードで転送
して下さい.なおこのバージョンから,ファイルの圧縮方法が変更になりまし
た.解凍には,GNU の gzip をお使い下さい.
KLIC コンパイラは KL1 プログラムを C プログラムにコンパイルし, それ
をホストシステムの C コンパイラで機械語にコンパイルして実行します. 生
成したコードは SICStus Prolog の生成する機械語コードのほぼ倍ぐらいの速
さです. C を中間言語に用いることで, システムはたいへんポータブルになっ
ています.
従来リリースした版 (1.210 まで) との主な違いは, KL1 から C へのコン
パイラが KL1 自身で記述したものに変わったことです. 従来の版ではこれは
Prolog で書いてあったので, インストールには SICStus Prolog か Quintus
Prolog が必要でした. 配布にはあらかじめ C にコンパイルしたコードを含
んでいるので, インストールには Prolog や KL1 のシステムは不要です.
他の拡張・改良点には以下のようなものがあります.
- ファイル入出力の大幅な効率改善
- 実行終了後の処理
- 浮動小数点数 (ドキュメントは未整備です)
- 多くのバグ修正 (まだたくさんあるでしょうが)
この版は以下のシステムで動作確認してあります.
Sun SparcStation 10 running SunOS 4.1.3
with gcc-2.5.8 and cc
SparcCenter 2000 running SunOS 5.3 (Solaris 2.3)
with gcc-2.5.7 and SunC 2.0.1
DEC 7000 AXP running OSF1
with gcc-2.5.8 and cc
Gateway P5-60 and some other PC/AT compatibles
running Linux 1.0 (Slackware 1.2.0)
with gcc-2.5.8
HP/UX でも非同期ストリーム入出力を除いて動作するとの報告を得ています.
この新版で KL1 プログラミングをお楽しみいただければ幸いです.
KLICの最初の公開以降,おおくの方々がKLICをお持ちになられましたが,こ のほどICOTでは,こうした方々が作られたKL1のプログラムを集め,特にKL1の 初学者のためのプログラムライブラリを作ることになりました. KL1のプログラムは,ICOT無償公開ソフトウェアにも数多く入っていますが, これらはいずれも相当大きなプログラムで,KL1を初めて使おうとされる方が 読んだり,試しに改造したりしていただくのには不適当なものです.そこで, 皆様が作られたKL1プログラムを,これからKL1の勉強をする方のためにご提供 いただきたいと思います.公開に際しては,「ICOT無償公開ソフトウェア」と 同等の条件で行うことが望ましいと思います.ご賛同いただける方は,「ICOT 無償公開ソフトウェア係」まで電子メールでお送り下さい. ICOTではお送りいただいたプログラムをまとめ,初学者のためのKL1プログ ラムライブラリを作成し,ICOT無償公開ソフトウェアと同様に公開いたします.
<ICOT無償公開ソフトウェア転送ランキング>
以下は,6月1日現在の,ソフトウェア別転送件数ランキングです.全体ではな
く,ベスト20をここにあげました.ただし,READMEや各種ドキュメントなどは
のぞいてあります.
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総転送件数: 9915件
(内訳) INFO,README, ニュースレターなど 4830件
IFS各ソフトウェア 5085件
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順位 ソフトウェア名称 転送件数
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1 [9] 制約論理型言語: cu-Prolog 429
2 [33] 形態素辞書 233
3 [10] 力学プログラミング: DP 200
4 [1] UNIX上のKL1プログラミング環境: PDSS 176
5 [41] 構文解析処理プログラム 154
6 [43] 日本語文生成ツール 153
7 [78] 並列論理型言語 KL1 の汎用機上の処理系: KLIC 第1版
139
8 [34] 局所単一化文法: LUG 131
9 [35] 制限依存文法: RDG 123
10 [25]&前向き推論システム: KORE/IE 106
11 [14] 制約論理型言語: CAL (CESP版) 103
12 [52] 囲碁対局システム: 逐次版『碁世代』GOG 89
13 [37] 形態素解析処理プログラム 84
14 [77] タンパク質立体構造表示ツール 79
15 [72] KL1言語処理方式検討用処理系 76
16 [2] 並列分散KL1処理系: VPIM 68
17 [36] 用例検索ツール: KWIC (CESP版) 65
18 [44] 文分割ツール 64
19 [38] 文法開発支援環境: Linguist 59
20 [53] 囲碁対局システム: 並列版『碁世代』GOG 58
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また,次は,国別の統計です.これも総転送件数の上位20位までを示します.
1994年6月1日 集計
順位 国または地域 人数/件数 人数/件数(README等を除く)
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1 日本 642/3868 466/1968
2 アメリカ 439/2936 252/1542
3 フランス 52/ 433 37/ 251
4 ドイツ 84/ 420 56/ 231
5 大韓民国 19/ 370 14/ 281
6 イギリス 76/ 306 46/ 129
7 カナダ 58/ 237 29/ 97
8 オーストラリア 51/ 168 20/ 43
9 台湾 25/ 146 19/ 102
10 スウェーデン 32/ 129 15/ 57
11 イスラエル 4/ 94 2/ 59
12 オランダ 25/ 74 11/ 23
13 ポルトガル 10/ 63 5/ 37
14 オーストリア 15/ 56 10/ 24
15 フィンランド 20/ 48 7/ 14
16 イタリア 15/ 46 10/ 19
17 シンガポール 8/ 38 4/ 18
18 ベルギー 9/ 37 6/ 23
19 スペイン 7/ 33 6/ 15
20 南アフリカ 2/ 33 2/ 21
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合計 1715/9915 1080/5085
ICOT 無償公開ソフトウェアとして公開されているソフトウェアに関し, ユー ザグループを結成し, そのソフトウェアに関する研究, 改良, 改版等を行いた いとお考えの方がおられましたら, 本ニュースレター末尾の無償公開ソフトウェ ア担当まで, メールでお知らせ下さい. お申し出の内容を, メール, ニュースレター等で告知の上, それに対する反 応を連絡します. また, 改版を行った結果, 他のユーザにも有用であると判断され, さらにご 希望があれば無償公開ソフトウェアのFTPサーバーに登録します.
制約論理型言語cu-Prologは,UNIX上で動くIFSオリジナル版と,中京大学の
白井英俊先生により移植された Macintosh版および MS-DOS版とがあります.
cu-Prologは自然言語処理ツールとしてだけでなく,C言語によるソースつきの
コンパクトなProlog処理系としても国内外で利用されているようです.利用者
も,大学院生から,自然言語処理や制約論理型言語の研究者と多岐にわたって
います.
cu-Prolog各版のバージョンアップ等の情報を提供し,さらに制約ベース文
法,制約論理型言語の自然言語処理への応用といった分野の情報交換を行なう
ため,cu-Prologユーザーズグループ(メイリングリスト)が運営されています.
アドレスは
cup@icot.or.jp
です.メイリングリストに登録ご希望の方は
cup-request@icot.or.jp
までメイルをお願いします.現在の登録者は35人です.
IFSはSICS (スウェーデン計算機科学研究所),ドイツのGMD,アメリカのオ
レゴン大学にもIFSを置かせていただいています.ディレクトリ構成は,ICOT
のサーバマシンと同一です.
それぞれ3つのサイトのFTPサーバは,
SICS: ftp.sics.se
GMD: ftp.gmd.de
オレゴン大学: ftp.cs.uoregon.edu
です. ただし, これらのFTPサーバはそれぞれ外国にありますので, ICOTかあ
るいはこれらのサイトのどちらか近い方へのアクセスをお願いします. アクセ
ス方法は, ICOTへのアクセス方法と, サーバの名前を除いて同じです.
本ソフトウェアに関するお問い合わせ, ご連絡などは原則としてe-mailでお
願いします. また本ニュースレターはe-mailで配布しておりますので, 新規購
読ご希望の方, バックナンバーをご希望の方は, e-mailアドレスを次の宛先ま
でご連絡ください.
ifs@icot.or.jp
なお, e-mailがご利用になれない場合, お問い合わせの節は以下の宛先まで
郵便またはファックスでご連絡ください.
〒108 東京都港区三田 1丁目4番28号
三田国際ビル 21階
(財) 新世代コンピュータ技術開発機構
無償公開ソフトウェア担当
FAX : 03--3456--1618
皆様のお近くに, ICOT無償公開ソフトウェアに興味をお持ちの方がいらっしゃ
いましたら, 上記窓口までご連絡ください. 同一覧を郵送し, 今後, 本ニュー
スレターを継続してお送りします.