本報告書は、先端情報技術研究所(AITEC)内に設置された「ペタフロップスマシン技術調査ワーキンググループ」の委員の方々の意見をまとめたものである。将来のペタフロップスに向かって高性能化していく超高性能計算機の開発に関連した技術開発や技術政策に関して、昨年度の報告書と同様に、各委員の意見を記述していただいた。本ワーキンググループ(WG)は、具体的な調査を行うために、大学、メーカ等の若手研究者、11 名から構成されている。委員の方々は、アーキテクチャ、ソフトウェア、アプリケーションの各分野において実際に研究や開発に携わっている方々であるが、多忙な時間を割いて議論に参加していただいた。
昨年度の調査においては、ぺタフロップスを念頭におきながらも、近未来、5 年ないし7年後くらいを視野に入れた議論を行い、現在あるものの次にくるべきものは何か、または、何がきてほしいかについて報告書をまとめた。今年度のWGの議論や報告書に関しても、昨年度と同様に、近未来の情報処理産業を見据えてどのような技術開発を行うべきかについてヒアリングや議論を行い、報告書としてまとめることとした。ただし、今年度は、WGをスタートするにあたって、予め情報処理技術に関する技術階層(あとがきに記載)を提示し、各階層において、技術的な重要課題はどのようなものであるかという点を念頭において議論をすることにした。それを行うきっかけは、デバイス分野の方々から、21世紀の高速デバイスや新しいデバイスがどのような形で使われることになるかという指針を示して欲しいという要請があったからである。そして、近未来の情報処理におけるアプリケーション分野を考慮にいれて、情報処理技術の重要課題について議論をすることとした。そのために、6人の専門家の方々から以下のテーマで話題を提供してもらい、議論を行った。
(1)最先端デバイス開発動向とデカナノプロジェクト
(2)デカナノレベルULSI技術開発の現状と問題点
(3)音声処理技術研究の現在及び将来
(4)グローバルコンピューティング技術の現在と将来
(5)自動翻訳通信の現状及び将来動向
(6)データベース処理研究開発の現状と将来
本報告書は、これらのヒアリングや討論をふまえて、我が国の情報処理技術を発展させるためにどのような方策が必要か、また情報処理技術の各階層において我が国にとって重要な技術課題はどのようなものであるかについて、各委員の見解をまとめたものである。そして、記述にあたっては特に次のような点を重視してもらうように要請した。
[1] デバイス分野で、新たなプロジェクトを提起する際の受け皿となりうる研究開発テーマイメージとは何か。
[2] デバイスから応用ソフト、コンテンツまでの各階層での重要課題を束ねることのできるフラッグシップをたてることの是非、また、そのようなフラッグシップにはどのようなものがあるか。
[3] 新規産業の育成につながる技術アンブレラ(方向性を示す技術的イメージ)とはどのようなものか。
具体的な記述に関しては、昨年度と同様に、各委員の信じる技術論・方法論に関する積極的記述を書いていただくように要請した。そのために、本報告書では、各報告ごとにそれを報告した各委員の記名がなされている。
本報告書が、ペタフロップスに向けた情報処理技術の発展の一助になれば幸いである。
(山口喜教主査)